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SCSK、IT企業初のEVをJMSで公開 わずか9ヶ月で開発、ソフトウェア起点の「つくり方」を提案

2025/10/16(木)

大手IT企業のSCSKは、ソフトウェア起点で開発したEV(電気自動車)を「Japan Mobility Show 2025」で初公開すると発表した。ハードウェアを持たないIT企業が、海外パートナーとの水平分業によってわずか9ヶ月で車両を完成。SDV(Software Defined Vehicle)時代における、新たなクルマの「つくり方」を業界に提示し、共創によるモビリティ社会の実現を目指す。

自動車業界がSDVへと大きくシフトする中、IT企業であるSCSKがクルマそのものを開発するという異例のプロジェクトを発表した。車両の機能や価値がソフトウェアによって定義される時代において、IT企業ならではの技術力と開発手法を活かし、未来の体験価値を具現化した。

このプロジェクト最大の特徴は、従来の自動車メーカーが採用してきた「垂直統合」の開発モデルとは一線を画す「水平分業」によるエコシステムを構築した点にある。SCSKがソフトウェア開発を主導し、車両の設計や製造は海外の専門パートナーと連携。これにより、コンセプト構想からわずか9ヶ月という異例のスピードで車両を完成させた。

公開されるEVは、移動空間を一人ひとりに最適化された“体験の場”へと変えるコンセプトモデルだ。車内には、海外サプライヤーと共同開発した8K画質の44.6インチ「ピラーtoピラーディスプレイ」を搭載。この巨大なディスプレイは、運転席、助手席、後部座席でそれぞれ異なるコンテンツを表示でき、没入感のある体験を提供する。

また、車両にはパーソナライズAIが搭載されており、ユーザーの好みや状況に応じてディスプレイの壁紙や車内空調を自動で制御するほか、嗜好に合わせた観光地のレコメンデーションなども行う。まさにソフトウェアがクルマの価値を定義するSDVを体現した一台となっている。

SCSKは、今回の車両開発で得た知見をもとに、自動車メーカーや関連企業との共創をさらに推進する考えだ。同社は「みんなでクルマをつくればいい」を合言葉に、自動車メーカーが持つハードウェア技術とSCSKが持つIT・ソフトウェアの強みを掛け合わせることで、業界全体の力を結集し、新たなモビリティサービスを創出することを目指している。今回の展示は、その共創の考えを具現化する第一歩であり、業界を越えた新たなパートナーと出会う機会と位置づけている。

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