シンプル・イズ・ザ・ベスト プラットフォーマーへの挑戦 ─ 株式会社SPOT
2017/11/13(月)
––––急速にサービス展開できた要因は?
創業から2年で資金調達からアプリ開発、ハードウェア開発まで一気に進めてきました。実はコインパーキングのスマートパーク化については、以前からIT系の会社による取り組みがなされていましたが、上首尾に、というわけには行きませんでした。なぜなら、スマートパーク化、つまり駐車場情報とインターネットを結びつけるためには、既存の精算機にネットワーク接続や決済などのシステム導入をするという方式になってしまい、駐車場事業者の投資負担が過大になってしまうからです。拠点数が多くなければスケールメリットが出ずに採算性で問題が出てくるため、実際に満空情報を独自に取得しているのは、最大手の数社のみに留まっています。
そこで私たちが開発した満空検知ハードウェアでは、あえてシンプルな構造にすることで低コスト化だけでなく、種類の多い精算機からの満空情報の取得を可能にしました。構造は本当にシンプルです。どんな駐車場にも満車か空車かを表示するパネルがついています。
このパネルを光らせているLEDから、満車を表示するときに光り、空車を表示するときには光らないようなLEDを隅の方から一つ選び、そこにセンサーを取り付けることで、満空情報を取得するという仕組みです(図4)。さらに、このハードウェアは、ソーラーパネルで充電を行うため、電源工事も不要になります。このため、設置が非常に容易で、設置工事はものの20分で終わります。
このように、私たちの開発した満空検知ハードウェアは、精算機の種別に関わらず後付けが可能であり、なおかつ電源工事も不要です。加えて、設置費無料で提供しています。導入の際の負担がないため、中小零細の駐車場事業者でも手軽にスマートパーク化が可能になります。そして、先ほど述べたようにマーケットで大勢を占めるのは、こうした中小零細の駐車場事業者なのです。
––––将来の方向性は?
まずは満空検知ハードウェアの設置数を増やし、満空情報まで取得できる駐車場を増やしていくことで、プラットフォーマーとしての地位を上げていきたいと考えています。アプリについても、これから本格的に広告を増やして認知度を高め、3月末までに最低でも10万件以上のダウンロードを確保する予定です。また、ビッグデータ解析を用いて価格最適化コンサルティングサービスを行ったり、O2Oサービスに活用したりといったことも考えています。
スマートパーク化の進む米サンフランシスコでは、近隣店舗の売上が12%アップするなどの波及効果がありました。そうした近隣商業店舗での消費を見込み、そこから広告収入を得ることで駐車場を無料化することも将来的には考えられるでしょう。
そして加速する自動運転に対しても駐車場のプラットフォーム化が果たす役割は大きいと考えています。なぜなら、いかに自動運転技術が発達しようともクルマを置いておく場所は必要で、クルマのスタート地点とゴール地点は必ず駐車場になるからです。
駐車場の満空情報は、デジタル化する目的地情報の中でも重要な地位を占めることになるでしょう。