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バルセロナから学ぶ ひと・まちがつながるスマートシティ【東大・吉村准教授】

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2020/11/10(火)

滞在空間となった道路空間

滞在空間となった道路空間
(提供:吉村有司 特任准教授)

欧州のスマートシティにおける取り組みで、代表的な都市として知られるスペイン・バルセロナ。市内各所に設置されたセンサーを通じ、さまざまな状況をモニタリングしている。そのデータは、アプリを通じて市民やユーザーに提供されるほか、公共サービスとも連動し、市民生活の向上に用いられている。

例えば、スマートパーキング。駐車スポットの路面に埋め込まれたセンサーからのデータをもとに、駐車スポットの空きを確認できる。また、散水・噴水・上下水道システムの自動運転や遠隔操作は、水資源の節約につながる。そのほかにも、道路脇のゴミ箱に設置したセンサーから空き容量をモニタリングし、収集頻度を調整する取り組みなど、データの活用例は多岐にわたる。

また、集積したビックデータを分析し、可視化することで、そのエリアの住民や働く人たちがまちづくりに参加しやすくなり、政策へ反映できるという。まちづくりへの住民参加を手助けし、多様な市民の声を集め熟議を促す、デジタルプラットフォームの構築も進む。
 
このようなデータを用いたまちづくりの背景とは、また、その可能性とはどのようなものだろうか。

バルセロナ市役所の一機関にあたるバルセロナ都市生態学庁、カタルーニャ先進交通センターでスマートシティ政策に取り組んだのち、マサチューセッツ工科大学研究員を経て、現在は東京大学先端科学技術研究センターでビックデータを建築やまちづくりに活用する、アーバン・サイエンス(Urban Sciences)の研究を進める吉村有司特任准教授に聞いた。

スマートシティのモデル都市、バルセロナ

大学では建築を学び、建築家のもとで働くことを念頭にスペインへ渡った吉村氏。しかし、バルセロナで生活するうちに、まちづくりに興味が移り、バルセロナ都市生態学庁に入庁。交通シミュレーションの世界的権威、Jaume Barceló氏のもとで、交通計画に関わることになる。

2011年、Smart City Expoの開催をきっかけに、スマートシティのモデル都市として注目を集めるようになったバルセロナ。
しかし、それ以前からバルセロナでは、デジタルプラットフォームやデータをまちづくりに活かす試みがあった。特に交通に関しては、先進的な取り組みをしていたという。

「2005年から、バルセロナ市・ヘルシンキ市(フィンランド)・ダブリン市(アイルランド)が共同でICTを交通計画に活用するEUのプロジェクトがありました。僕は建築がバックグラウンドで、パブリックスペースのデザインがやりたくて入庁したのですが、いきなりICTを活用した交通計画に取り組めと言われました。『お前は日本人だからテクノロジーに強いだろう』と、いい加減な理由でしたが、やることになりました」と吉村氏は振り返る。

東京大学 先端科学技術研究センター 吉村有司 特任准教授

東京大学 先端科学技術研究センター 吉村有司 特任准教授



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