中国山東省での水素サプライチェーン確立に向け、双日とフレイン・エナジーが調査開始
2020/12/2(水)
双日は11月30日、フレイン・エナジー(以下フレイン)とともに、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「LOHC※1を用いた水素サプライチェーン確立について(中国・山東省)」を受諾することを発表した。
多くの国や企業が、クリーンなエネルギー源として水素を研究している。中国もそのひとつだ。中国は世界最大規模の水素生産を行い、水素利活用を推進している。中でも山東省は、副生水素と再生可能エネルギーの両方で、中国全省の中でも最大級の供給力を持つ。※Liquid Organic Hydrogen Carrierの略称。気体の水素を有機溶剤の一種であるトルエンと触媒反応させてMCH(メチルシクロヘキサン)にして貯蔵や輸送を容易にする技術。
双日とフレインは、NEDOの公募した「エネルギー消費の効率化等に資する我が国技術の国際実証事業」の枠組みの中で、今回の調査を実施する。
フレインの保有するLOHC技術を使い水素をMCH(メチルシクロヘキサン)へと転換、転換したMCHを水素ステーションまで輸送、MCHを再度水素に転換する。MCHに転換することで容積が水素の約500分の1となり、貯蔵や輸送が容易になる。また、MCHは常温常圧の安定した液体のため、安全かつ容易に水素の長期貯蔵や大量輸送が可能だ。
今回の調査の目的は、LOHC技術を駆使した燃料電池車向けの水素供給事業の検討に必要な基礎情報として、必要となる許認可、関連する法制度、水素需給のポテンシャルなどを確かめることだ。調査結果は2020年度末までにまとめる予定。両者は調査後に実証試験を行い、MCHの輸送・貯蔵方法を活用した水素サプライチェーンの有効性を実証する。
なお双日は、中国国内だけではなく、日本への水素サプライチェーンの構築の可能性も視野に事業展開を模索する。LOHC技術の国内外での普及、温室効果ガスの排出削減・低炭素社会の実現・地球温暖化といった社会課題の解決につなげることを目指すと述べている。
(出典:双日 Webサイトより)