日産×住友商事×住友三井オートサービス、EV二次利用の最大化目指しプロジェクト始動
2018/11/20(火)
日産自動車株式会社(以下「日産自動車」)と住友商事株式会社(以下「住友商事」)と住友三井オートサービス株式会社(以下「住友三井オートサービス」)は、電気自動車:以下「EV」の新たな二次利用の可能性を最大化することを目的に、2018年10月1日、「EVカスケードリユース推進協定」を締結し、『EVカスケードリユースプロジェクト』を始動した。
同プロジェクトは、リユースEV(中古EV)の新たな二次利用を促進する取り組み。EVやバッテリーの個々の能力変化に応じた二次利用手法を事業モデル化し、EVのライフサイクルを通じて、EVを余すことなく活用すること(カスケードリユース(注1))を目指すとしている。世界的にも日本国内においてもEV時代が到来する昨今、EVの二次利用が注目されている。同プロジェクトでは、EVカスケードリユースのモデルサイクルを構築し、世界各国の国や自治体、他企業との取り組みを加速し、EVエコシステム構築に寄与していく狙いだ。リユースEVは、中古車としての再利用に加え、新車時と比較し電池容量が低下している場合でも、限られた区域内においては車両として活用することができる。また、一定残量以上の電池パック(注2)については、定置型の蓄電池として使用することで系統安定化等の機能が期待されている。さらにEVバッテリーは、モジュール(注3)単位で再製品化することで、様々な用途で電池として利用することが可能となる。個々のEVやバッテリーの能力を検証し、その能力に応じ二次利用を行うことにより、EVは様々な形で長期間にわたりその機能を発揮できる。
日産自動車と住友商事は、日本でトップの自動車リース会社である住友三井オートサービス(グループ保有管理台数81万台)と共に、同プロジェクトで、クルマとしての二次利用において本格的な事業化に向けた検証を実施する。顧客の用途に応じEVの選択肢を拡げ、EV利用を促進することで、CO2排出量の削減に貢献すると共に、停電等の非常時における電源車としての利用も推進する。第一弾として、2018年10月に、千葉市内にある大規模工場の構内車として「日産リーフ」のリユース車両22台を納入した。うち2台については、フォーアールエナジー株式会社(以下「4R」)にて再生したバッテリー(注4)を搭載している。
日産自動車と住友商事は、EV時代を見据え、個々の分野において二次利用に向けた取り組みを行ってきた。2010年、EVバッテリーの二次利用を目的として4Rを両社で設立。2012年には、EV/PHEVの充電インフラ拡充を目的にジャパンチャージネットワーク(株)を設立し、現在日本で最多の充電器ネットワークを管理運用している。2013年には、住友商事は4Rの協力のもと、大阪夢洲にて世界初の大型EVリユース蓄電池システムを開発し技術面を検証。2015年には甑島において薩摩川内市との共同事業に着手した。九州電力の協力のもと大型EVリユース蓄電池システムを電力系統に接続し、再生可能エネルギー大量導入時の電力安定化を目的とした実証事業を実施している。甑島ではさらに日産自動車と協力し「みらいの島共同プロジェクト」としてEV(eNV-200)を40台導入し、島内にEVバッテリーの循環モデルを構築した。2018年には長崎県諫早市で、「みらいの工場プロジェクト」としてEV・再生可能エネルギー・EVリユース蓄電池システムを導入したスマート工場モデルを構築。EVや蓄電池システムの充放電を系統安定化に役立てるVPP制御を実証し、EVリユース蓄電池システムの販売を開始している。
(注1) カスケードリユース:新品同様の品質からは変化しているが、その製品の資源やエネルギーに一次利用後の品質に応じて最適な形で再循環する。 (注2) 電池パック:複数個接続された「モジュール」とセンサーやコントローラーを接続してケースに収めたもの。EVには、この電池パックの状態で搭載される。 (注3) モジュール:バッテリー機能となる「セル」を複数枚接続して金属製のケースに入れたもの (注4) 再生したバッテリー:全国から回収した使用済みバッテリーを4Rにて性能測定し、再製品化したバッテリー