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高齢者に優しい移動サービスを  舟屋の里・伊根を走るグリーンスローモビリティ―

2019/1/31(木)

2018年11月に行われた試走会の様子

少子高齢化などを背景とした公共交通の廃止・縮小によって、中山間地域をはじめとした地方には、日々の買い物や通院にさえ移動不便を抱える住民が多く生活している。当記事では、地域が抱える移動課題の解決に向け取り組む、京都府与謝郡伊根町の事例を紹介する。地域の課題を解決する、地域に合った取り組みを探る。「みんなで作る地域に合った移動の仕組み」sponsored by トヨタ・モビリティ基金。
230の舟屋が軒を連ねる観光地で、「舟屋の里」として知られる京都府与謝郡伊根町。その伊根町において、グリーンスローモビリティ(電動小型低速車両)を活用した実証実験が行われた。ICT技術を活用したロケーションシステム・予約システムやキャッシュレス決済など、より便利な移動手段の確立に向けた意欲的な取り組みが目立った。地域に根差す移動サービスへの取り組みについて、(一社)京都府北部地域連携都市圏振興社(海の京都DMO) 伊根地域本部(伊根町観光協会)の事務局長を務める吉田 晃彦 氏と伊根町役場 企画観光課 主事の森下 育海 氏に話を伺った。

左:(一社)京都府北部地域連携都市圏振興社 (海の京都DMO) 伊根地域本部(伊根町観光協会) 事務局長吉田 晃彦 氏
右:伊根町役場 企画観光課 主事 森下 育海 氏


観光振興と過疎化、伊根町の課題を 「グリーンスローモビリティ」で解消

丹後半島の北東部に位置する京都府与謝郡伊根町は人口約2,100人の町だ。2017年には約31万人の観光客が訪れる人気の観光地だが、町内の周遊手段は主に徒歩に限られていた。また、高齢化率が46%と京都府内で最も高い水準にあり、地域内を走るコミュニティバスの本数が限られている。従来の交通網を補完し、地域の移動手段を確保することが大きな課題となっていた。

一連の課題を解消するべく、伊根町は小型で低速走行を行う電動車両「グリーンスローモビリティ」を用いた実証実験を行った。車両はヤマハ発動機が開発したランドカー(主にゴルフ場などで利用されている電動小型低速車両)を採用。ドアが無いオープンな構造で、かつ低床の構造だ。外の風景だけでなく、町の匂いや音を感じながら走行できるので、観光に非常に適している。また、高齢者でも乗り降りがしやすいことが大きなメリットだ。

実証実験の走行コース。平日は伊根診療所から亀山集落まで、土日祝は遊覧船のりばから道の駅の区間を走行する。



実証実験は2017年7月から、2018年11月からそれぞれ1カ月間行われた。2017年の実証は、遊覧船のりばや道の駅などの拠点を結び、主に観光利用を想定して実施した。2018年の実証実験では、地域の移動の足へのニーズが高まり、オンデマンドサービスを導入。住民が多く利用する平日の路線は、伊根診療所から亀山集落まで延線し、停留所は4カ所から19カ所へと増加した(図参照)。実施期間も観光客の閑散期である11月に実施し、住民利用の検証を主眼に置いた。伊根町としては、地域内のコミュニティバスを補完するだけではなく、将来的な交通体系の再編を視野に入れたときに、オンデマンドサービスの構築を推し進めることは非常に重要という考えで臨んでいる。

ロケーションシステム・デマンド予約システムを導入 より便利、より簡単に

2018年に行われた2回目の実証実験では、デンソーから実証用車両のロケーションシステムとオンデマンド予約システムが提供された。ロケーションシステムについては、車両に搭載したスマホのGPSから位置情報を収集し、走行位置や運行遅れなどを知ることができる。各バス停に設置されたQRコードを読み取ると、利用者が車両の運行状況を自身のスマホで確認できるシステムだ。

予約システムは、平日のデマンド運行に合わせて開発され、伊根町の住民や観光客の利用を想定している。予約はスマホとタブレットどちらからでも可能。インターネット環境があれば、個人の端末から予約できる。また、実証に協力する地域の高齢者10名にはタブレット端末の無償配布も行った。外国人観光客も想定し、英語表記にも対応している。利用日時と乗車人数を入力すると、システム側で運行計画を自動作成し、ドライバーに運行指示を出すことができる。

このシステムをスムーズに導入できたのは、地域の防災無線のデジタル化の動きと関係している。デジタル防災無線の導入を進める上で、通信システムなどをはじめとした技術が、移動課題の解決を図るオンデマンドサービスへ活用できるのでは、というアイデアが生まれたのだ。

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