TOYO TIRE、「持たざる強み」(清水社長)でCASEやMaaSにも機敏に対応
2019/12/5(木)
TOYO TIRE株式会社(以下、TOYO TIRE)の清水隆史社長は12月3日、伊丹市内の本社で記者会見を行った。2019年1月に東洋ゴム工業からTOYO TIREへ社名を変更。第二の創業の年と位置づけた2019年度について清水社長は「生産、販売、技術、コーポレートが意識を揃え、成長戦略を描き、さまざまなワーキングを進めるフェーズに入ったという点を評価したい」と振り返った。
同社は北米で人気の高いピックアップトラックや大型SUVの需要に応えるため、大口径タイヤを積極的に市場投入してきた。同社最大の北米工場では新棟建屋を拡張し、2019年4月から増産を開始。収益の柱となっている北米市場において、優先的に生産能力の増強を行ってきた。マレーシア工場と桑名工場においても、SUVと乗用車向けタイヤ、トラックバス用タイヤそれぞれの生産能力の増強を行っている。8拠点目となる新工場であるセルビア工場においては2022年の生産開始に向け、準備を進めている。「北米事業を戦略的に確立してきたことが強み。百年に一度の変革期ではあるが、独自の強みをさらに伸ばし、強みに隠れた弱みを伸ばしていきたい。生き残り執着するのではなく、勝ち残る挑戦をしていく」(清水社長)。
営業体制においては、10月1日に組織改編を行い、国内と海外の2軸から、欧州・中東・アフリカを所管する欧阿中東営業本部と日本を含むアジア・オセアニア営業部の2つのビジネス領域に分ける。日本・東南アジアにおいては三菱商事との業務提携を生かし、エリア特性に特化したマーケティングと営業施策を集中的に展開し、増販を目指す。
技術開発においては、AIを駆使したタイヤ設計基盤技術の進化させた「T-MODE」や、低燃費化やEV化のカギを握る「空力」を高精度にシミュレーションしたモビリティ・エアロダイナミクス、タイヤ空洞共鳴音を低減するToyo Silent Technology、エアレスコンセプトタイヤ「noair」など、次世代モビリティに求められる軽量化、低燃費化、静粛性、ライフサイクルの向上に対応する技術開発に取り組んできた。
清水社長はコネクテッド対応技術として、近々発表予定であるタイヤセンシング技術に言及。タイヤからインプットされるデータの分析を行い、タイヤ固有の特性値をタイムリーに可視化することで差別化された付加価値を提供する予定。メーカーや大学との連携も既に開始しているという。自動車業界のトレンドであるCASEやMaaS対応については、「わからない部分も多々ある。持たざる強みがあるので機敏に動きながらそれぞれ対応していきたい」と話した。
来年、創業75周年を迎える同社。「Open Roads Await」という新ブランドステートメントを制定し、2020年は新しい道づくりの年としてまい進していく。