東洋ゴム パンクの心配は不要! 空気充填不要のエアレスタイヤ「noair ノアイア」
2017/10/6(金)
東洋ゴム工業株式会社(以下、東洋ゴム)は9月8日、空気充填不要のタイヤ「noair」を開発したことを発表し、大阪府吹田市の万博記念公園で技術説明会と試走会を行った。
空気充填不要のエアレスタイヤ
東洋ゴムは2006年より、空気充填不要のタイヤについて研究を進めてきた。タイヤの基本構造を根本から見直し、スポークの技術に工夫を重ねた。第5弾まで試作を繰り返し、今回発表されたコンセプトタイヤは第6弾目となる。第4弾となる試作品では、スポークの構造をY字型にし、屋内での評価を実現できるレベルに到達させた。第5弾はスポーク構造を楕円形に見直し、補強層として中間リングを追加。外径リングの層にCFRP(カーボン繊維強化プラスチック)を補強材として採用することで、低速(時速10キロ)での実装を実現できるようになったものの、騒音や耐久力などの課題が残った。
これらの課題を解決すべく、タイヤの専門集団であるタイヤ技術センター、素材開発を専門とする基盤技術センターから構造・材料の専門家を投入して、知見を集約しながら開発研究を進めた。「折り畳み椅子からのヒントを得た」(技術統括部門 技術第一本部 タイヤ先行技術開発部 柏原直人氏)というスポークは、楕円形からX形のクロススポークに変形させた。
クロススポークにし、荷重支持を進化させることで耐久力を大幅に向上させた。スポーク本数も約2倍の100ピッチを配置することで接地圧を分散。騒音を低減させることに成功した。燃費性能をあらわす転がり抵抗値については、東洋ゴムの市販品より25%向上し※1、濡れた路面でのブレーキ制動は市販品に比べて約4%の短縮を図ることができたという。
※1空気入りのタイヤよりゴム使用量が減ったことで、転がり抵抗の熱損失が減り燃費向上につながった。ここでの燃費は、タイヤ単体の燃費を指す。
「自動運転、EV化で変革する自動車社会の波に、タイヤメーカーとしてどのようなソリューションが準備できるか、次世代型タイヤのポテンシャルをどこまで備えているかがメーカーとして必要になる」(技術統括部門 技術第一本部長 守屋学氏)。自動運転化社会においては、カーシェアリングの車両に使用される部品へのメンテナンスフリーのニーズは増えてくるだろう。また、小口配送の増加や過疎地での近距離移動、コンパクトシティでの移動で主流となることが予想される超小型モビリティにおいては、積み込みスペースが不要なスペアレスタイヤは重宝される。
現在、軽自動車など実車でのテスト走行が可能である「noair」。今後は、高速耐久力や耐重量性などの課題を向上させ、実用化を目指す。次世代型モビリティに合わせて進化する、パンクしないタイヤに今後も注目だ。