信州大発TRILL.、国交省と連携し社用車活用カーシェア「OURCAR」を長野で実証開始
2025/6/20(金)
信州大学発スタートアップの株式会社TRILL.は、国土交通省が推進する「地域交通DXプロジェクト」の一環として、法人車両などを活用したカーシェアリングサービス「OURCAR(アワカ)」の実証実験を2025年10月1日から長野県内で開始する。夜間や休日に稼働していない社用車などを地域住民や来訪者に提供することで、公共交通が手薄な「交通空白」地域の解消と、車両の有効活用による新たな価値創出を目指す。
長野県では、人口減少などを背景に公共交通の縮小が進み、県民の約16%が移動手段に不便を感じる「交通空白」が課題となっている。その一方で、自家用車の稼働率は約4%と低く、多くの車両が遊休資産となっている現状があった。
今回の実証実験は、この「移動したい人」と「活用されていない車」という二つの課題をマッチングさせる試みである。TRILL.が開発・運営するカーシェアプラットフォーム「OURCAR」を活用し、長野市、松本市、上田市および交通空白の課題を抱える地域を対象に、法人が所有する営業車や社用車、自治体の公用車、個人の自家用車などをカーシェア車両として登録。利用者は専用のWebアプリケーションを通じて、24時間いつでも非対面で車両の予約から利用までを完結できる。
本プロジェクトは、地域住民や観光客に低価格な移動手段を提供することで移動の利便性を向上させ、地域内周遊の促進による経済活性化を図ることを目標としている。また、車両を提供する法人や個人にとっては、遊休時間を活用して維持費の負担を軽減できるというメリットがある。
TRILL.は、この実証実験を通じて「地域交通DXの成功モデル」を確立し、将来的には同様の課題を抱える全国の他地域への展開を目指す。経済合理性だけでは維持が難しい地域の移動を、地域全体で支え合う相互扶助の仕組みで解決し、持続可能なモビリティ社会の実現に貢献していく考えだ。
