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機会損失で自信喪失!? ペーパードライバー大学生の実態調査【寄稿:Z世代モビリティ研究所】

2024/1/25(木)

「買う、借りる、シェアする」など、様々な使い方や付き合い方が出てきたクルマ。
そんな中で、Z世代はクルマにどんな価値観を持っていて、クルマに何を求めているのか? そんな「Z世代にとってクルマって何?」を様々な視点から探っていきます。イマドキのクルマ文化をZ世代自身が探っていく企画第2弾、はじまります。
Z世代モビリティ研究所へようこそ! 現役女子大生(21)のみさです。

本企画は、Z世代のクルマに対する価値観を紐解き、私たちが生み出す私たちならではのカーライフを探っていく連載企画です。

前回の記事をまだ読まれてない方は、ぜひこちらもご覧ください!
見た目や広さはもう要らない? マッチングアプリから見えたZ世代のクルマの使い方
前編(こちら) 後編(こちら

今回のテーマは「大学生ペーパードライバーの運転事情」です!

ゴールド免許保有者3人に1人がペーパードライバー*1だという現代。
Z世代においても「とりあえず免許は取ったけど、あんまり運転していない」という人は多いようです。実際に一般財団法人沖縄観光コンベンションビューロー(OCVB)が実施した調査*2では、Z世代の免許保有者のうち約37%が「ほとんど運転しない」と回答しています。
*1 三井住友海上火災保険株式会社 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000020.000090956.html(参照 2024-01-19)
*2 OCVB https://drive.google.com/file/d/1LoYu7p094zBJeHBKNFpmoyrnrvU0MgTm/view(参照 2024-01-19)
Z世代モビリティ研究所の主体である「学生団体モビラボ」では、3年前より大学生のペーパードライバーを対象とした教習イベントを実施しています。
というのも、「免許取ったけど駐車が苦手」「そのせいで友達を誘ってドライブに行けない」「運転がうまい人を隣に乗せないと運転できない」

こんな声を友人からたくさん聞いていました。確かに、自動車教習所で教えてくれる運転技術って、基礎的なものばかり。難しい状況を突破できるような技術までは教えてくれなかった記憶があります・・・。

これは大学生が「クルマ」や「運転」から遠ざかる原因になってしまう・・・!こんな問題意識から、この運転教習イベント、「よかまち自動車学校」を開催するに至りました。

イベントでは、日本自動車連盟(JAF)指導員さんのご指導のもと、実車を実際に運転しながらカラーコーンで作られたコースを走行します。2022年には上級者向けとして、TOYOTA GR86のマニュアル車も用意。運転初心者からクルマ好きまで、大好評のイベントです(⌒▽⌒)
※ 本イベントは、「移動サービスで北部九州を未来へ繋がるよかまちへ」をコンセプトに移動サービスを展開するコンソーシアム、よかまちみらいプロジェクトを実施主体とし九州大学キャンパス構内で実施しています。

本記事では、今回で3回目の開催となる「よかまち自動車学校2023」に、突撃取材してきました!

今年のメインコンテンツは、JAFの指導員さんによる指導を受けられる「ドライビングレッスン」。参加してくれたのは「運転スキルに不安がある大学生たち」。彼らにインタビューすることができました。

参加者たちの生の声から、大学生ペーパードライバーの実態に迫っていきます👀

Z世代は運転が上手くなりたい?

Z世代のペーパードライバーは、「運転が上手にできるようになりたい」と思っているのでしょうか?
実際にインタビューで、「運転が上手くなりたいか?」という質問をしたところ、このような回答が多く見られました。

大学近くに住んでおり、普段運転が必要なことはないが、もし上手くなったら遠出してみたい
とりあえず一人で乗れるようになれれば良い。(現在、運転するときは両親に同乗してもらっている)

「運転が上手になりたい」というよりも、「運転能力は失いたくない、いつでもやろうと思えば運転できる自分でいたい」というのが実際のペーパードライバーの心理と言えそうです。

今回のイベントに参加してくださった方々は、みなさんクルマでの通学はされておらず、普段から運転する機会が少ない方ばかりでした。
将来的にも必要だと思って運転免許を取得するものの、学生時代に運転の機会がなく、社会人になる頃にはいわゆるペーパードライバーになってしまっている。そんな実態がありそうですね。

そして、ペーパードライバーの人は、具体的な運転スキルに苦手意識があるわけではなく、なにもかもが苦手・怖い、不安だけが募っている状態だと言えそうです。
イベント参加前の心境として、このような声を聞きました。

(自分が運転する様子を)想像するだけだと、恐怖心とか不安が増すばかりだった

運転能力の低さという明確な自覚よりも、免許取得時からのブランクによる漠然とした不安や苦手意識が、運転機会を作れない1つの心理的要因になっているのかもしれません。

しかし、彼らが運転の機会を作れなかった理由は他にもありました。

ペーパードライバーになった原因は機会損失!?

彼らが運転機会を作れなかったのには、物理的な外的要因による機会損失もあったようです。
普段は全く運転しないという大学3年生の参加者に聞くと、こんな意見が。

1,2年生の頃、(コロナで)旅行や遠出があまりできず、今もおっくうになっている

大学生活は「人生の夏休み」と呼ばれることもあり、まさにたくさん旅行や遠出を楽しむ時期といえますが、コロナをきっかけにその機会を奪われてしまった大学生が一定数いるのだと感じました。

現に筆者も大学3年生ですが、1,2年生の時は自粛期間のために運転する機会を作ることができず、自粛期間が明ける頃には「私はもう上手く運転できないだろう」という根拠のない自覚が芽生えていました。

このような外的要因によって、運転への漠然とした不安や苦手意識だけが募ってしまったという人は少なくないと思います。

こうして最後の運転からブランクができると、旅行や遠出を計画する際に、自分で運転するという選択肢がパッと浮かばなくなります。

「もし事故を起こしてしまってクルマやモノを傷つけてしまったら、どうしよう・・・」であったり、「友人に下手な運転で不安にさせたら気まずいだろうな・・・」など、たらればの不安が膨らむことは容易に想像できます。

結果的に旅行中の移動を公共交通機関だけで完結させようという思考が巡るようになり、運転する機会を自分でも作り出せないという、悪循環が生まれます。このような悪循環により、ますますペーパー化が進んでしまっているのかもしれません。

では、長い間運転への苦手意識を募らせてきたZ世代がペーパードライバーから脱するには、どうすればよいのでしょうか?

ペーパードライバー脱出に必要なのは、練習機会の提供

イベントの参加者に話を聞いていくと、このようなコメントをしてくれた人がいました。

自分が友人のクルマの助手席にいるときに、左側バックでこすったのを見たことがあり、トラウマ気味
友だちとレンタカーで旅行中、狭い道でUターンして出られなくなって、めっちゃ怖かった

自分以外の運転で、事故の場面に遭遇したことがあると、「事故って起こる時は本当に起こるんだ」と、事故の現実味やリスクを痛感したそうです。
自分が運転したときに事故を起こしてしまったら・・・、シンプルに怖いという感覚が植え付けられそうです。

しかし、実際にドライビングレッスンを受講し、運転してみたら・・・

自分で運転してみて感覚を取り戻せて恐怖心が薄れた!
指導員の方の指導が分かりやすくて、クランクをバックでもすぐに成功できて自信がついた! 意外といけるなと思えた

なんとすべての参加者から「意外と運転できた、自信を取り戻した」という声を聞けました!
運転のブランクが長いほど、運転操作や運転中に無意識的・感覚的に行っている動作など、具体的なイメージを思い出せなくなります。

ですが、いざ運転をしてみると、意外とすぐに感覚を取り戻せたり教習所で学んだことが無意識に出来ていたりして、漠然としていた不安や苦手意識が解消されるようです。
実際に筆者も現地で様子を見ていましたが、JAFの指導員さんの存在もあり、皆さん気兼ねなく挑戦できていた様子でした。

イベントに参加した人へのインタビューを踏まえ、私たちは1つの仮説を立てました。
それは、ペーパードライバーを脱出するには「とりあえずやってみる」機会が必要なのではないか、というものです。

外的要因として運転する機会の提供さえあれば、ペーパードライバーでも運転感覚と自信を取り戻し、そして再度運転から遠のくことを防ぐことができるのではないでしょうか。

まとめ

ここまで読んでいただきありがとうございました!

今回、ペーパードライバー大学生へのインタビューを通して見えてきたのは、運転への不安が運転の機会を遠ざけ、さらに自信の喪失につながるという悪循環が存在すること。
そして、「失敗してもいいからやってみる機会」を提供することで、その悪循環から抜け出せる可能性があるということでした。
Z世代とクルマの距離をもっと縮めるためには、「失敗できる運転機会」を作ってあげることが重要そうです!

今回はここまで。次回もお楽しみに!!

【モビリティ×Z世代の接点作りをご一緒しませんか?】

Z世代モビリティ研究所では、共同調査やZ世代を対象としたイベントの実施など、モビリティとZ世代を繋ぐご依頼をお待ちしています。これまで、自動車ディーラー様や損害保険会社様と共同で、大学生を対象に、クルマをより身近に使ってもらうためのイベントや広報活動を行ってきました。
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