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デンソーが作る化粧品「moina」~研究物から化粧品へと変えた女性社員たち~

2017/9/7(木)

右:新事業推進部 新事業開発室 担当部長 渥美欣也氏 左:新事業推進部 新事業開発室 池部久美代氏

株式会社デンソーは、2008年から「シュードコリシスチス※1」や「ボツリオコッカス※2」などの微細藻類からオイルを産生するバイオ燃料の研究をしている。藻のオイルの浸透力と保湿力にエンジン試験の際に気付き、化粧品化を始めたという。女性社員たちによるプロジェクトで商品化が実現した自動車部品メーカーが作る、環境に優しい化粧品とは――。
 
※1 デンソーが特許を持つ新種の藻
※2 筑波大学の渡邉信教授によって発見された藻

CO2削減のために始めた藻の培養

藻の培養のきっかけは2006年に施行された京都議定書。先進国での温室効果ガス排出削減について法的拘束力のある目標数値が定められている。新事業推進部 新事業開発室の担当部長である渥美欣也氏(以下、渥美氏)は、会社からCO2削減の命を受け、東京大学の先端科学技術研究センターを訪れる。

「藻が植物の中で1番CO2を削減する。オイルを産生する藻もあるので、バイオ燃料にも使えると助言を受けた」(渥美氏)。その後、筑波大学の渡邉信教授と研究を始め、培養の仕方を教わり天草にある研究所で培養を開始した。

さとうきびやとうもろこしなどの食料から作ることが主流であったバイオ燃料は、穀物の価格沸騰につながることが懸念されている。そのため、食品と競合せず生産効率が高い「藻類バイオマス」に注目が集まっている。「藻は土地が痩せていても水と太陽があれば培養でき、通常の植物に比べたら何十倍も効率よくオイルが取れる。大量に培養できるような研究が世界中で行われている」(渥美氏)。

クルマのEV化が進む一方で、ジェット機はEV化の実現が難しい。「ヨーロッパでは、域内に入るときにバイオ燃料以外の燃料は多く課税される施策が検討されている。日本でも2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向け、バイオジェット燃料の研究が進められており、天草で培養された藻から生成されたバイオ燃料も将来的には国の施策であるジェット燃料として利用できるように努めている」(渥美氏)。現在、トヨタのダカールラリーで一部燃料としても使用されているという。

藻のオイルの保湿力に気付き、化粧品事業を立ち上げた渥美氏。



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