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社会・産業の変革イネイブラとしてのMaaSへの期待2/2

2019/5/10(金)

(寄稿:アーサー・ディ・リトル・ジャパン  パートナー:三ツ谷翔太 コンサルタント:岡部亜門 コンサルタント:北朴木祥吾)

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前半では、昨今のMaaS議論を一段上位から捉えなおし、社会変革および産業創出のためのイネイブラとして、MaaSの可能性について取り上げた。後半となる今回は、広義のMaaSに取り組むにあたっての関係各業界にとっての潜在機会や持つべき視座について述べたい。

本来であれば、このような議論は各社固有の課題やビジョン、経営資源を踏まえた検討が必要であるが、本稿が社内やパートナーとの議論における何かしらの投げかけ・課題提起になれば幸いである。

前半はこちら↓
https://ligare.news/story/adl/

場づくり/価値づくり”の主体になりうる公共交通


(旧国鉄)
JRグループは、民間企業でありながら公的役割を担い続けてきた、日本の交通基幹を支える主要かつ稀有な存在である。そのため、一方では民間企業として経済性・持続性を求められつつも、他方では旧国鉄として公共性・社会性をより強く 求められる側面があるため、MaaSに対して自社の民間的側面/公的側面のどのアングルから取り組むかで動きにくいところがあるかもしれない。

しかし、このような特徴を持つが故に、求心力としての公的側面、ビジネスプレイヤーとしての民間側面の両方の立場を組み合わせ、社会プラットフォームの役割を担う事ができることも事実である。例えば、社会価値と経済価値の両方を考えられる主体として、特定のステークホルダーに偏らずに、都市課題の解決に資するMaaSの実現を主導できる可能性は大きい。

(私鉄)
私鉄各社は、日本独自の沿線開発モデルを開発してきた経緯から、多くが商業、住宅、小売、ホテルなどの多事業を展開している。そのため、企業グループ内だけでも「広く産業を超えたMaaS」に取り組みやすい、ある種の閉じた事業構造であるとも言える。

一方で、そこからはみ出た部分に対する潜在的な影響力も大きい。なぜならば、多様な事業構造を持っていることはすなわち、「産業を超えたMaaS」をスモール & クイックに試行できるテストベッド・ショールームを持っていることを意味するからである。言い換えれば、「新しいコンセプトのMaaSモデルにトライし、成功させ、コンセプト輸出を進められるのは、私鉄各社ならではの価値」と言える。実際に国内のMaaSの取り組み発表で先行したのは私鉄各社であり、世界に先駆けて「新しいMaaSユースケース」を創出できる可能性は大きい。

総じて、公共交通各社は、データのプラットフォームづくりだけではなく、場づくり・価値づくりの存在へのシフトをさらに考えていくべきではないか。

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