Astemoが挑む、生成AIで創る次世代モビリティ価値の革新【JMS2025】
2025/11/20(木)
2025年現在、自動運転技術のメリットとして、ヒューマンエラーが減ることによる交通事故の減少やドライバー不足による物流停滞の緩和・解消が考えられている。しかし、このようなメリットも、時代の変化や技術の進歩によって変わっていく。既存価値の進化だけではなく、ときには新たな価値の創出を求められる。メーカーや研究機関は、変化する価値観をいち早く捉え、クルマづくりに反映させる仕組みを構築しなければならない。
Astemoは、ジャパンモビリティーショー2025(以下、JMS2025)ブースで生成AIと仮想環境を活用したデジタリゼーションについて詳しく披露した。今回は、生成AIと仮想環境を活用し、デジタライゼーションによって未来のモビリティ価値の創生を試みる同社の挑戦を紹介する。
Astemoは、ジャパンモビリティーショー2025(以下、JMS2025)ブースで生成AIと仮想環境を活用したデジタリゼーションについて詳しく披露した。今回は、生成AIと仮想環境を活用し、デジタライゼーションによって未来のモビリティ価値の創生を試みる同社の挑戦を紹介する。
誰でもSDVにアクセスができる環境
Astemoは、デジタリゼーションでの目指す姿として、車両アーキテクチャとIoVプラットフォームによりSDV時代のモビリティに貢献することを掲げている。具体的には、誰でもSDVにアクセスができる環境づくりを目指しているという。ここで注目したいのは、「誰でも」という部分だ。有用な機能を取り付ければ便利にはなるが、反面仕組みが複雑になりやすく簡単には触れにくくなる。同社が目指しているのは、こういった課題の解決だ。JMS2025への出展時点において、車のシミュレーション(仮想車両)と開発の両方の環境を提供。大学やテレビ局などで利用されているという。また、同社は、デジタライゼーションの技術開発の方向性として、短期・中期・長期の3つのフェーズに分けて取り組みを行っている。それぞれのフェーズでの具体的な取り組みとしては、短期はOTA(Over The Air)ソフトウェアの更新、中期は車両価値の継続進化、長期は個人に応じた価値創生と高度な進化だ。こうした段階的な取り組みを通じて、同社はデジタライゼーションの実装を着実に進め、SDV時代における新たなモビリティ価値の創出を目指している。
価値創出DX
環境づくりに続いて必要になるのが価値創出の仕組みだ。同社は、この仕組みづくりを価値創生DXと名付け、生成AIとデジタル環境による価値創出・検証のための共創プラットフォームを準備している。具体的には、トップダウンとボトムアップの双方から価値を創出し、デジタルツインで価値を検証、最後に実車で検証することで量産に踏み切るという流れだ。同社は、自動運転で価値創生DXを進めており、ドライバーやバス運転手との会話、専門情報、生体データなどを活用し、「こうすれば良いのでは」とAIが提案できるようにしているという。個人情報をどう扱うか、どこまで公開できるかという点は今後の検討事項とのことだ。すでに、実際にAIにコード修正を依頼したり、生成結果を検証したりという実験を進めており、AutowareやCARLAを使って自動運転の検証を行っているという。トップダウンとボトムアップ双方から意見を取り入れることで、誰でもSDVにアクセスができる環境の価値を高め、量産までの流れを効率化しているのだ。
今後の課題
今後の課題として挙がったのは、生成AIの精度向上と個人情報の取り扱いだ。生成AIについては、研究開発を始めたばかりであり、これからモデルを改善していく段階だという。一方、個人情報の取り扱いについても、どのように扱い、どこまで公開できるかが今後の検討事項になっている。SDVやデジタルツインなど個々の技術が高度化していく中で、誰でもアクセスできる環境をつくる。これはモビリティに限らず、これからの社会全体が向き合うべき課題になっていくはずだ。







