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『車の自動化、コネクティビティへの対応 』ボッシュ・越智純一氏

2016/9/30(金)


安全性と車載システム

フェイルセーフの分野も車載システムが大きく関わります。ドライバーに何かしらの疾患が起きた際、安全にクルマを止めるためにどのような対応をすべきでしょうか。アシステッドや部分自動運転の段階であれば、不具合が起きた場合にアラーム音を出してドライバーに知らせればよいでしょう。しかし高度自動運転あるいは完全自動運転という段階では異なる対応が必要です。たとえば高度自動運転であれば、比較的安全な最も低速の車線に移行させるであったり、完全自動運転であれば、次のサービスエリアや安全な路側帯に回避をさせたりといったことをする必要があります。このように自動運転の技術そのものだけではなく、それと組み合わせて安全の考え方も同時に検討していかなければなりません。
こうした安全性の観点では、特にリタンダンシー、つまり冗長性・多重性が重要になります。たとえば単純な緊急停止ブレーキであれば、ブレーキだけが多重化していれば良いのですが、自動運転技術を用いて安全な減速・停止を行うためには、ブレーキやステアリング、フロントセンサーなど、さまざまな部分で多重化を施しておく必要があります。低速車線への移行や、安全な場所への回避・停車といったことまで含めると、ほぼすべてのコンポーネントの多重化が必要になってくるでしょう。同時に、電源系においても多重化が必要になります。

 

コネクティビティと車載システム

先述のロードマップでも触れている通り、車載システムの機能は統合・融合と集権化を経て最終的にはクラウドに機能移行することになります。また、メガトレンドの1つであるコネクテッド・ワールドの伸長と共に車載システムとコネクティビティとの関係はますます深化していくでしょう。
ボッシュが考えるコネクティビティのユースケースは次のようなものになります。まず、クルマにコネクティビティを実装し、定期的にクルマからモニタリングシステムへデータが送られるようにします。そうしたデータを分析・診断し、クルマに対して、このデータは壊れる予兆だということをフィードバックします。その上で、その壊れそうなクルマをディーラーに入庫しますか、という連絡がコールセンターから来て、同時に予約もとることができます。データが共有されているので、ディーラー側では、こういうクルマのこの部分が故障をしそうだ、という情報をもとに部品やツールが事前に自動でオーダーされます。こうして事前にクルマの状態を把握できるため、作業時間の目安についても顧客に説明することができます。また、そういったクルマの問題が、特定の一台のものでなく、複数のクルマで見受けられる場合はアップデートして対応するということも可能になります。
ボッシュでは、コネクティビティ・コントロールユニットなどの既存のユニットと組み合わせてバックエンドで一括してセキュリティ・ソリューションを提供しようと取り組んでいます。鍵管理、認証や暗号化、といったソリューションも用意しています。実際、ボッシュIoTクラウドのサービスを、今年3月に発表し、7月より外部に向けてサービスを開始しています。

ボッシュの考えるコネクティビティ



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