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「公共財プラットフォーム」で、自動運転の実装を阻む課題の打破へ。CAMIPシンポジウムレポート

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2026/4/10(金)

名古屋大学モビリティ社会研究所(GREMO)と中部経済連合会が主催する第11回CAMIP(中部先進モビリティ実装プラットフォーム)シンポジウムが3月24日、名古屋市で開催。自動運転の車両やシステム、インフラなどの資産を「公共財」として一括調達・貸与する制度「スマートモビリティ公共財プラットフォーム(以下、公共財PF)」の提言を行った。

名古屋大学COI-NEXTマイモビリティ共創拠点、土木学会土木計画学研究委員会、モビリティエコシステムフォーラムらによる提言のほか、OEMや交通事業者、自治体や大学などによる情報提供やパネルディスカッションも実施。会には約400名(会場120名、オンライン280名)が参加し、自動運転の社会実装を加速するための議論が交わされた。

(取材・文/LIGARE編集部 和田翔)
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「公共財」が求められる背景にある、実証から実装への壁

名古屋大学 未来創造機構 特任教授 森川高行氏

名古屋大学 特任教授 森川高行氏


シンポジウムの冒頭に登壇した名古屋大学の森川高行特任教授は、「ほとんどの公共交通はビジネスとして成り立っていない」と切り出し、「鍵になるのは、自動運転技術の活用だ」と強調した。

しかし、自動運転の社会実装は政府目標に対して大きく遅れている。同じく名古屋大学の三輪富生教授は、デジタル庁の資料を参照し、「自動運転バスの導入費用は車両だけで5,500〜8,000万円、ほかの初期費用を加えると1億円に達する」と指摘。

さらに「現行の補助制度は初期導入の支援が中心で、継続運用や機器更新への支援は限定的だ」とも言及した。自治体や交通事業者ごとに個別に調達する仕組みは、コスト高と仕様のばらつきを生み、ある地域で導入した車両を他の地域で再利用することも困難にしている。
※政府は「デジタル田園都市国家構想総合戦略(2023年度改訂版)」で、自動運転レベル4の普及目標として「2025年度を目途に50カ所程度、2027年度に100カ所以上を全国に展開・実装」と掲げている。また、「第3次交通政策基本計画」には、自動運転の車両台数を2030年までに10,000台とする目標が盛り込まれた。

三輪氏が「路線バス事業者の73.7%が赤字」という国土交通省の調査した数字を取り上げたように、人口減少と運転士不足などがますます深刻になっている状況下では、地方の交通網が崩壊してしまう可能性を否定できない。かといって、制度が十分に整備されないまま市場原理に委ねれば、収益を見込める都市部だけでサービスが展開される「クリーム・スキミング」のリスクもある。

こうした認識のもと、今回のシンポジウムでは、「全国規模で公平性と持続性を担保する制度変革が不可欠だ」との問題提起がなされた。

名古屋大学 教授 三輪富生氏

名古屋大学 教授 三輪富生氏


「民間保有・個別導入」から「公的保有・共同運用」へ

シンポジウムで議論の中心となった「公共財PF」とは、これらの課題解決を目指した仕組み。自動運転車両や運行システム、路側機器などの資産を共通仕様に基づいて一括調達・保有し、自治体や交通事業者に安価に貸与する。つまり「民間保有・個別導入」から「公的保有・共同運用」 への移行を促し、地域交通を支える制度を確立させる構想だ。

公共財PF導入時の地域公共交通サービスの概念図(バス車両調達の場合)

公共財PF導入時の地域公共交通サービスの概念図(バス車両調達の場合)


公共財PFの役割として、大きく以下の5つが挙げられる。

1. 共通仕様に基づく一括調達とコスト低減
2. 中立性と公共性を備えた共有資産モデルの構築
3. 資産循環の円滑化による持続可能な交通サービスの確保
4. 技術集積と産業基盤の強化
5. データ集約による地域交通計画・政策の高度化

※上記の図表および5項目の役割は、(公社)土木学会 土木計画学研究委員会 スマートローカルモビリティ公共財プラットフォーム小委員会『提言書 スマートモビリティ公共財プラットフォームの制度化について』より抜粋

経済面のインパクトについて三輪氏は、政府目標の10,000台規模の車両導入が実現した場合、「1.4兆円程度の生産誘発効果がある」との推計を紹介。「この仕組みは、国内メーカーの安定的な販路確保にもつながり、日本のモビリティ産業を成長させる政策基盤となり得る」と述べた。

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