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医療現場でキャンピングカーが活躍! 小田原市・丹羽病院の新型コロナ対応策

2020/12/9(水)


小田原市内の民間病院が協力して対応体制を確立

——その後はどのような対応が行われたのでしょうか。
保健所だけでなく各病院でもPCR検査が実施できる体制を整えてほしいという声が医師会からあがったことで、5月の連休明けに、県が指定した病院については発熱外来を設置してPCR検査を行えるようになりました。この辺りの地域では間中病院(小田原市)が名乗りを上げました。同院へ検体を持ち込むと、3時間ほどで検査結果が出ます。

自治体の検査センターも開設されていますが、検査自体は全国各地の検体が同じ場所に集約されて行われるので、検体の輸送に時間が掛かってしまい、週末を挟んでしまうと検査結果が出るまでに48時間ほど要してしまうこともあります。そうした場合、自宅に帰れる人であればよいのですが、お年寄りや動けない患者さんは入院してもらうことになり、隔離病棟が必要になってきます。

その日のうちに検査結果がわかるようになれば、新型コロナウイルス感染症の疑いのある患者さんを効率的に対応できるようになるわけです。

——民間の医療機関が協力して発熱患者の対応に取り組まれているということですね。
公的な病院が医療崩壊状態になれば、次は自分たちが危機に瀕します。1つの病院たりとも潰さないようにしようと考えると、やはり皆の協力が必要です。ローカルな地域ですので、病院長同士が顔見知りで普段から交流があるということも幸いしていたのかもしれません。

もちろん、透析専門の病院など事情があって発熱患者の受け入れが難しい医療機関もありますが、可能な病院は自分たちを守るために受け入れて、外来・受け入れ中止という事態だけは避けるべきです。おそらく200床未満の病院であれば、2週間外来を休止し、新入院の受け入れを中止すると、資金が回らなくなってしまうと思います。協力できるところは協力しながら安全な病院運営ができるようにする、という考えには皆さん賛成していただけていると思います。

キャンピングカーで動線の分離を実現


——丹羽病院ではバンシェルターを導入して、キャンピングカーでの診察を行っていますね。
広い駐車場などスペースのある大きな病院であれば、テントやプレハブを設置して動線を分けることができるかもしれませんが、古い病院や小さい病院ではそうした余裕がなく、完全に動線を分けることは難しいです。そうしたなかバンシェルターの話を聞いて、当院でも実際に使ってみることにしました。

発熱患者には電話で予約していただき、キャンピングカーあるいは車両の外に置いた机の上でカルテを記入して受け付けます。そして、キャンピングカーの中で診療をすることで建物内に入る必要がなくなり、完全に動線を分けることができています。

キャンピングカーであればエアコンもベッドもありますので、PCR検査の結果が出るまで一旦帰宅できない患者さんでも、そこで点滴をしたり休んでいただいたりすることができます。

7月後半から試験的に導入し、1日1~2人程度を対応してきましたが、8月後半からはもう少し大きめな車両をレンタルして、本格的に受け入れを始めました。そこからは1日大体4~5人程度を対応しています。

インフルエンザ患者が増える冬季に向けて何をすべきか

——これから冬になると、インフルエンザなどが流行し、発熱の症状を訴える患者さんはさらに増えそうです。
発熱の原因はさまざまで、新型コロナウイルス感染症だけを診察から除外するという方針を取ることは不可能です。少しでも疑いがある場合は、待合室ではなく屋外のキャンピングカーへ案内する形であれば、比較的安全に対応することができますので、発熱患者に対して良い流れを作ることができたと思っています。民間の病院が協力してそうした体制を作っていければ、インフルエンザの流行期にも立ち向かっていけると考えています。

——高齢者や障がいのある方など、自家用車での移動が困難な方々はどうすればよいでしょうか。
感染のリスクを考えると、タクシーなど公共交通機関を使うわけにもいかないので、確かにそこは課題として残ります。私は「訪問」がその対策になると思っています。ただし、それを行う体制は現状ではほとんど機能していないでしょう。

一番困っているのは、一人暮らしの高齢者と高齢者施設の方々だと思います。たとえば、高齢者施設に入居している方が発熱した場合、来院していただくためには、施設の車を誰かが運転して付き添うことになりますが、感染の危険が伴います。

先日、実際にそうしたケースがありましたが、その際には、実際に施設へと訪問してPCR用の検体を取りました。そこで聞いた話なのですが、コロナ禍以前でも、冬になるとインフルエンザ、誤嚥性(ごえんせい)肺炎、尿路感染症などさまざまな理由で1シーズンに10~20人の方が発熱の症状を訴えられるそうです。

昨年までは、訪問診療の先生に電話をして許可が下りれば、施設の看護師がインフルエンザの検査を行い、陽性の場合は医師の指示を仰いで投薬するという流れだったそうですが、今年はそういうわけにもいきません。

高齢者施設で発熱者が出た場合は、やはり医師が訪問するしかないと思いますが、そうした体制ができている病院がどれだけあるのかはわかりません。ですので、キャンピングカーを利用した屋外の発熱外来と訪問PCR検査を組み合わせるという形で、地域を守っていける体制を作っていきたいと考えています。

日本の場合、キャンピングカーを日常利用するという習慣があまりなく、道楽として捉えられることが多いと思いますが、バンシェルターのように、社会や地域で活用するという発想があっても良いのではないでしょうか。目先の経済原理だけで動くのではなく、災害や緊急事態時の予備としての考えを持つことも必要だと感じています。
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