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安全運転意識の向上を事故防止につなげるには?【実践方法付き】

2023/4/7(金)

社用車を管理する企業にとって、交通事故の防止は非常に重要なテーマだ。事故を防ぐために欠かせないのが、管理者や従業員が日々安全運転を継続すること。では、安全運転意識を向上させるには、具体的にどんな取り組みを行えばいいのだろうか。

企業や団体の事故削減・安全運転管理をサポートしてきた実績を多数持ち、1986年の発足から現在に至るまで交通安全の現場で活動を続けるSSD研究所(株式会社エスエスディ)に、安全運転に役立つヒントを聞いた。

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従業員の安全運転意識を向上させるメリット

SSD研究所 取締役 野村幸一氏

SSD研究所 取締役 野村幸一氏


――交通安全白書によると、死亡事故の原因の半数以上を安全運転義務違反が占めています。安全運転の指導を行う現場でも同様の傾向があるのでしょうか?

野村氏:交通死亡事故に限ると、確かに安全運転義務違反が多くを占めています。ご存じのように安全運転義務違反とは、漫然運転と脇見運転、他者(車)の存在や動きへの不注視、前後左右への安全不確認、操作不適などです。これらが原因の不幸な死亡事故を無くすことはもちろん重要だと考えています。

他方、企業における事故の大半は物損事故です。物損事故を防ぐことが結果として死亡事故を防ぐことにもつながるのでは、と思います。この物損事故の原因に目を向けると、その多くが単純な認知ミスで発生しています。

高林氏:われわれの取引先から受け取る事故報告書を分析してみると、企業によって多少の違いはありますが、具体的な認知ミスの内容は、見落とし、発見遅れ、見誤りといったものが挙げられます。
※参照:内閣府「令和4年版交通安全白書」P52


――ひとたび事故が起こればさまざまな損害が発生しますから、企業としては人身事故と物損事故、いずれも防ぐ必要がありますね。

野村氏:はい、事故を起こしてしまうと車両の補修費や保険料の増加、人身事故の場合は被害者への賠償金などの直接的な損害が発生します。そのほかに、企業の信用失墜などの間接的な損害が発生するおそれもあります。

事故は結果です。接触した対象が物なら物損事故、歩行者なら人身事故となります。対象をコントロールすることはできません。つまり、物損事故を防ぐことは人身事故を防ぐことにもなると考えます。

高林氏:特に最近では、従業員が負傷して運転できないとか、代車を手配するのに数日かかるとか、営業機会の損失も重要視されています。企業の社会的な責任を全うするため、あるいは企業防衛のため、社用車の交通事故防止に力を入れる企業が増えています。

SSD研究所 営業部長 高林一夫氏

SSD研究所 営業部長 高林一夫氏


――企業の社会的な責任というと、環境対策もその一つだと思います。さらに、燃料費の高騰が問題になっている現状を踏まえると、「エコドライブ」を実践することは有効でしょうか?

野村氏:国が推奨する「エコドライブ10のすすめ」には、ペダル操作などを中心に10項目が盛り込まれています。その主な目的は燃費を抑えることですから、エコドライブの実践は燃料コストの削減に効果があるといえます。

1. 自分の燃費を把握しよう
2. ふんわりアクセル「eスタート」
3. 車間距離にゆとりをもって、加速・減速の少ない運転
4. 減速時は早めにアクセルを離そう
5. エアコンの使用は適切に
6. ムダなアイドリングはやめよう
7. 渋滞を避け、余裕をもって出発しよう
8. タイヤの空気圧から始める点検・整備
9. 不要な荷物はおろそう
10. 走行の妨げとなる駐車はやめよう
※参照:環境省「エコドライブ10のすすめ」の改訂について ~地球と財布にやさしいエコドライブを始めよう~

――丁寧な運転を行うことは、安全運転にもつながるでしょうか?

野村氏:確かに、車間距離に余裕をもってゆっくり発進し、早めにアクセルオフをするなど、エコドライブに盛り込まれた運転操作を実践することで、事故リスクを下げられる面はあります。ただ、エコドライブだけでは安全運転の実践が十分とはいえないと考えています。

高林氏:丁寧な運転は安全確保の一部分です。先ほど述べた通り、交通事故の多くは認知ミスが原因で起きているので、その点に注意を払う必要があります。



従業員の安全運転意識を向上させるには?

――社用車を運転する従業員の安全意識を向上させるためには、どんな取り組みが必要でしょう?

野村氏:「意識」は外側には見えないもので、「態度」とは対象や状況に対して行動を規定する一定の心の傾向をいいます。少し難しい言い方をしましたが、われわれは「意識を変える」のではなく、「態度を変容(あるいは向上)させる」という考えで安全運転教育を行っています。

――では、その態度を変容させるには、具体的にどんな対策が必要でしょうか?

高林氏:安全運転に対する態度を変容させるためには、一定の刺激を与え続けることが大切だと考えています。例えば、継続的に安全運転講習の受講機会を管理者側が設定することがその一つです。ただ、目的を明確にした上で研修を実施しないと効果はありません。

企業によって、運転する場所や時間、業務内容は異なりますし、新入社員なのか事故を起こした従業員なのか、あるいは安全運転管理者なのか、誰を対象に講習を行うかで教える内容も変わります。それぞれの状況や要望に応じて、企業ごとにオリジナルのプログラムを実施する必要があると考えています。

野村氏:われわれの経験上、継続的に研修を受けることで効果が高まる傾向があると感じています。健康診断のように定期的に講習を受けることが重要ですね。



――そのほかにも、標語やスローガンを作って行動目標を設定するのも有効でしょうか?

野村氏:標語やスローガンを作るのもいいと思います。ただ、それらは言葉だけのものですから、「指差し確認を必ず行う」などの具体的な行動を決めることが大切です。加えて、それを実行できているかチェックできる体制を作り、継続して取り組めば、事故防止につながると思います。

――具体的な行動目標を決める際、警察庁が定めた「安全運転5則」などのように、公に広く活用されている交通ルールを参照した方がいいでしょうか?

野村氏:それも一つの方法だと思います。安全運転5則は守るべきルールです。ただ、人間誰しも他人から言われたことには従わない面もあります。上長から「これをやれ」と一方的に指示されるのも同じですね。ですから、行動目標はメンバーが自分たちで話し合って設定するのが理想です。
※安全運転5則とは、「安全速度を必ず守る」、「カーブの手前でスピードを落とす」、「交差点では必ず安全を確かめる」、「一時停止で横断歩行者の安全を守る」、「飲酒運転は絶対にしない」の5則をいう(参照:警察庁『昭和56年版 警察白書』, 第7章 交通安全と警察活動)。ほかに「高速運転安全5則」や「自転車安全利用5則」などもある。
――行動目標を推進するために、どんな点に注意するべきでしょうか?

野村氏:行動目標をしっかりするほど習慣化します。ただし、習慣化すると無意識の行動になる面があり、指差しで安全確認をすると決めても、実はちゃんと目で確認しておらず形だけの行動になってしまうことは多々あります。ですから、管理者やメンバー同士で定期的にチェックする仕組みにして、改善し続けるのがいいでしょうね。

――そうした運転中の行動を、例えばドライブレコーダーのインカメラを使ってチェックすることは効果的でしょうか?

野村氏:設定した行動目標を徹底できているか把握できますし、その後の定着や改善にも使えますから、ドライブレコーダーの活用は効果的だと思います。ただし、ドライブレコーダーを導入すればただちに事故が減る、というわけではありません。ドライブレコーダーを活用して、現在行っている従業員への安全運転教育をさらに手厚くすることが重要だと思います。

*通信型ドライブレコーダーの特徴

運転状況の見える化で事故の予防につなげる 車間距離や速度超過、一時不停止等、ドライバーのさまざまな運転行動を見える化できます。可視化したデータをドライバーごとの運転診断に活用するなど、日々の安全運転管理に役立つ機能が満載です。
AIが抽出したヒヤリハット映像を安全運転教育に AIがヒヤリハットの可能性がある映像のみを自動で抽出します。ヒヤリハットの発生地点をマップ上に表示して危険なポイントを共有したり、ヒヤリハット映像を活用したe-Learning資料を作成したり、ドライブレコーダーが取得したデータを日々の安全運転教育に活用できます。
全車両の位置情報をリアルタイムで確認 社用車がいまどこにいるのか、どこでどんな走行をしたのかを記録し、確認することが可能です。万が一の事故でも、場所と状況のスムーズな確認が可能になり、迅速な対応に貢献できます。

デンソーテンの通信型ドライブレコーダーを紹介するWebサイトでは、当記事のほかにも日々の運転業務に役立つ情報の発信や、実際に通信型ドライブレコーダーを導入している企業の事例紹介なども行っています。ぜひこの機会に会員登録(無料)をしてご覧ください。

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安全運転意識の向上に役立つ実践項目


前段では、安全運転につながる実践項目として「講習会の継続的な受講」や「具体的な行動目標の実行とチェック」を紹介してもらいました。そのほかにも、以下のような実践項目があります。

1. 運転適性診断の実施

ペーパーテストを通じて、事故に結び付きやすい内面特性や傾向を分析することができます。一例として、SSD研究所では、大阪大学の大森正昭教授(故人)と共同開発した運転適性テストを研修に活用しており、 (1)個人特性・(2)安全態度・(3)マナー・(4)注意力の4項目を抽出できます。テストの結果「前方の状況変化を認識するのが遅い」との傾向が分かれば、「普段から車間距離を空けよう」といった具体的な指導・説明を行い、事故防止へとつなげることが可能です。

2. 事故やヒヤリハット事例の共有

事故の状況や発生原因を分析したり、具体的な再発防止策を策定したりするために、社内の定例会議で事故やヒヤリハット、危険運転などの録画映像を共有する企業もあります。野村氏によると、まずは「あそこの営業所で事故があったから気をつけよう」という簡単な情報共有から始めるのも一つの方法です。社内会議以外の情報共有は、多くの企業が朝礼の場を利用しています。

3. 運転日誌の提出と添削

安全運転管理者の基本業務の一つに、「運転日誌(運転日報)の備え付けと記録」があります。運転行動や整備状況の確認はもちろんですが、例えば、運転者が自分の日誌に一言コメントを書き、管理者が添削して返す交換日誌として運用するのも効果的です。はじめは「書くことがない」と悩む人も多いそうですが、続けるうちに運転中の小さな出来事にも注意できるように変わっていきます。

安全運転意識を向上させ、事故防止へとつなげるために

SSD研究所 取締役 野村幸一氏・営業部長 高林一夫氏
――ここまでお話を伺って、安全運転意識(あるいは態度)を変えるには、実際にハンドルを握るドライバーの行動だけでなく、周囲の連携や関わり方も重要だと感じました。

野村氏:交通安全は、多くの人が「他人事」だと考えていて、それを「自分事」にできれば態度の変容につながります。そして、そのためには誰かにアプローチしてもらうのが有効だと考えています。われわれの考えとして、「人は人でしか、変わることができない」というものがあります。運転する従業員の努力も必要ですし、それをサポートする管理者の指導、取り組みを支える組織の力も必要なのです。

高林氏:例えば、e-Learningを行う際も、1人だけで完結するやり方だと、満足な結果につながらないこともあります。管理者や上長が「昨日のe-Learningどうだった?」と感想を一言聞くだけでもいいのです。そんな声掛けだけでも、態度の変容につながります

「事故防止のための3つの輪」(資料提供:SSD研究所)

「事故防止のための3つの輪」(資料提供:SSD研究所)


高林氏:われわれは、「事故防止のための3つの輪」という考え方で活動しています。ドライバー個人の意欲サポートする社内教育の体制、さらに専門的にサポートする社外の教育、この3つが機能し、それらの重なる部分が大きくなってこそ、安全の確保につながります。

野村氏:白ナンバーの社用車を運用している企業は、本業も抱えていて安全運転や事故防止のために十分な時間を確保できない場合も多いでしょう。ですから、企業の実情に応じてサポートしていくのが、われわれの役割だと考えています。

今回、安全運転意識を向上させるための具体的な方策を伺った。そのほかにも、下記の記事では、通信型ドライブレコーダーの活用など、実際に企業が実践している事例を紹介している。いずれのケースでも共通しているのは、「会社の実情に合わせた取り組みを継続すること」だ。社内で事故防止対策を検討する際も、この点を踏まえて考えたい。

「安全運転教育とは人材育成」事故防止のヒントを探る!
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