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デンソーテン、車両など撮影物をリアルタイム認識するAI技術開発

2021/9/29(水)

エッジAIを組み込んだ
効率的なデータ収集

株式会社デンソーテン(以下、デンソーテン)は、ドライブレコーダーなどの組み込み機器(以下、エッジ端末)で撮影した物体を、端末のSoC(System-on-a-chip)でリアルタイムに認識するエッジAI(人工知能)技術を開発した。9月28日付のプレスリリースで明かしている。

デンソーテンは、2005年にタクシー向けドライブレコーダーを発売、2015年には「クラウド連携ドライブレコーダー」を商品化している。「クラウド連携ドライブレコーダー」は、クラウドセンターと連携し、走行中の膨大な記録データの中から危険と判断された画像だけをリアルタイムに確認できる。

コネクティッドカーの普及によって、データ活用の多様化・高度化が進んでいる。例えば、ドライブレコーダーが収集する画像データに対する需要が増加した。これにより、クラウドセンターに送信するための通信コストや、クラウドセンターのストレージコストなどデータ収集コストの増加が見込まれている。

今回デンソーテンの開発した技術は、こうしたコスト増加の解決策として考案したものだ。まず、車の中にエッジAIを搭載して撮影した画像に映り込んでいる物体を認識し、認識結果を文字データとしてクラウドセンターに送信する。次に、クラウドセンターで認識結果に基づいて、本当に必要な画像データの送信だけを車載機器へ要求する。これにより、データ収集に係るコストを大幅に削減し、効率の良いデータ収集を行うことができる。

具体的には、AIの性能確保のために残すべき部分を特定し、そうでない部分を簡単な演算に置き換えることでAIモデルの演算量・メモリ量を削減する。さらに、デンソーテンのエッジAI技術と組み合わせ、認識したい物体を含む画像(教師データ)の作成にかかる手作業を一部自動化した。これにより、経験豊富な人の手作業による教師データ作成と比較して時間を20%削減している。

また、デンソーテンのAI技術者が保有するノウハウをソフトウエア化した。性能の良いモデルを作るための設定値(学習用パラメータ)を特定する工程を自動化している。これにより、AI技術者がいなくても、AI技術者が作成したモデルと同等性能のモデルを短期間かつ自動で生成することができる。

なお、デンソーテンは、これら技術開発で作成したAIモデルを同社製品に適用するという。さらに、収集画像の個人情報保護、車両や歩行者による通行量の把握、防犯カメラでの侵入検知など車載以外の用途も提案すると述べている。

AIモデル開発の
プロセスと課題

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