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ホンダが次世代EV「Honda 0(ゼロ)シリーズ」とコンセプトモデル2車種を世界初公開【CES2024】

2024/1/31(水)

ホンダブースで行われた次世代EV「Honda 0(ゼロ)シリーズ」の発表会

本田技研工業株式会社(以下、ホンダ)はラスベガスで開催されたCES2024でEV「Honda 0(ゼロ)シリーズ」の発表会を行い、コンセプトモデル2車種を初公開した。進化したAIやセンシング技術を活用した最新のADASに加え、2020年代後半モデルには自動運転の搭載を予定しており、人の感性に近い、安心・安全な運転空間の提供を目指す。

ホンダ哲学を踏襲する夢のモビリティを具現化

ホンダは、ラスベガスで開催のCES 2024において、北米市場からグローバルへ新たに展開する次世代EV「Honda 0(ゼロ)シリーズ」の発表会を自社ブースで開催。コンセプトモデル2車種を世界に向けて初公開した。今年のCESは例年に比べて大手自動車メーカーの参加や新車発表が少ないこともあり、展示会初日に行われた発表会には大勢の参加者が詰めかけた。

コンセプトモデル2車種が発表された

コンセプトモデル2車種が発表された



ホンダはガソリン車の販売を2040年までに全て終了し、EV/FCEVへ移行する目標を2021年4月に発表している。その皮切りとなる今回のシリーズは、クルマづくりの原点に立ち返り、これまでにない新しいEV価値をゼロから創るという意味で「0」と名付けられた。ゼロという言葉には、ゼロエミッションや交通事故死者をゼロにするという決意も込められている。

EVになってもホンダの哲学である、M・M(Man-Maximum、Mecha-Minimum)思想は変わらず、”人のためのスペースは最大に、メカニズムは最小に”の実現を目指すとしている。発表会に登壇した取締役代表執行役社長 の三部敏宏氏は、「クルマづくりにこだわる喜びを追求し続け、ホンダが夢見るモビリティを具現化させていく」と述べた。

その象徴となる最初のモデルは、走りのホンダをイメージさせるスポーティーな「SALOON(サルーン)」と、広々とした空間と見晴らしの良さを実現した「SPACE-HUB(スペースハブ)」の2車種。フロントグリルの「Hマーク」は、次世代車であることを示すエンブレムとして新たにデザインされ、今後のシリーズにも採用される。


2車種はフロントグリルに0シリーズを意味する「Hマーク」が採用されている。

2020年代後半に次世代の自動運転を搭載

「SALOON」はシリーズのフラッグシップコンセプトモデルに位置づけられ、特長であるフロアの高さが抑えられたことを生かした、低全高でスポーティーなデザインになっている。独自のロボティクス技術による姿勢制御やステア・バイ・ワイヤの採用で、ホンダのクルマづくりの原点である”操る喜び”を提供する。

上に開く大きなドアとホールド性の高そうなシートが並ぶ車内は、やや窮屈そうなイメージがあるが空間は広く感じられるという。インパネ 周りもシンプルで、走りに集中できるようになっている。



「SPACE-HUB」は人々の暮らしの拡張をテーマにしており、車内は広々としたフレキシブルな空間になっている。フロントから屋根までガラス張りなので視界が広く、それでいて背面は独特なデザインで横から見た印象と異なるのが面白い。



発表会では開発コンセプトなどの詳細について、取締役 代表執行役副社長の青山真二氏が紹介した。

現在のEVが「Thick, Heavy, but Smart(厚く、重いけれどスマート)」を目指しているのに対し、ホンダは「Thin, Light, and Wise(薄く、軽く、そして賢い)」を開発アプローチに掲げている。具体的にはEVのプラットフォームを薄く、軽くしながら、走りの良さと航続距離を伸ばすことを両立させる。

開発アプローチに「Thin, Light, and Wise」を掲げる



さらに以下の5つをコアバリューとして提供していく。
1. 共鳴を呼ぶ芸術的なデザイン
2. 安心・安全のAD/ADAS
3. IoTとコネクテッドによる新たな空間価値
4. 人車一体の操る喜び
5. 高い電費性能


これまで培われた自動運転技術を活用した最新のADASに加え、2020年代後半モデルには次世代の自動運転を搭載することも発表された。ホンダの安全思想をベースに、進化したAI、センシング、認識判断、ドライバーモニターを搭載し、人の感性に近い、安心で安全な自動運転空間を提供する。

2020年代後半モデルには自動運転機能を搭載



バッテリー開発と充電設備に力を入れる

0シリーズではEVで課題となっているバッテリーについて、様々な対応を進めて行く。2020年代後半には全固体電池を採用し、15%~80%の急速充電時間を10~15分程度に短縮すると同時に10年後のバッテリー劣化率を抑える。一方で、LG Energy Solutionとの合弁会社によるEV用リチウムイオンバッテリー共同生産を計画しており、年内の工場建設完了を予定している。

LG Energy Solutionと北米市場EV用バッテリー生産工場を設立



日々の走行に必要なバッテリーの充電については、2030年までに3万のハイパワーチャージポイントを設置する目標を掲げている。昨年9月には、BMW、Fordと共に北米で新会社ChargeScape社の設立に合意したことを発表した。3300の電力会社とも連携を広げ、スマート充電サービスを提供する地域を拡大していく。

充電設備やサービスの充実にも力を入れる



ホンダブースは自動車関連の展示が集まるLVCC(ラスベガスコンベンションセンター)のウェストとホールとは少し離れたノースホールに設けられ、コンセプトにモデルが2台置かれていた。その他に米国で販売されている「Motocompact」があるだけという、全体に広々としたシンプルな構成になっていた。それぞれの車種は、案内パネル越しに車両を見ると重なるように解説が表示されるAR形式で紹介されているのも面白かった。



ホンダは北米市場からスタートするシリーズ最初の車両発売時期を2026年に予定しており、その後、日本、アジア、欧州、アフリカ・中東、南米へと投入する。それまでの2年間で夢のようなコンセプトモデルがどこまで実現できるのか、今後の動きに注目していきたい。

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(ITジャーナリスト/野々下裕子)

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