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市光工業 安全、そしてその先の安心を支えるクルマの技術

2017/10/26(木)



人とくるまのテクノロジー展2017 の様子



 

ミラーメーカーのミラーレスへの挑戦 ─ カメラモニタリングシステム

─ CMS の概要について教えてください。

これまでは、後方視認をするために、ルームミラーとドアミラーという2 つの鏡を使っていました。これに代わり、カメラとモニターを使って後方視認を行なうのがCMS です。2016 年の6 月に法律が代わり、CMS の方式が認可されるようになりました。原理としては、後方を見るカメラと、ドライバーが視認できる位置にモニターがあり、それにより後方の状況を確認できるというものです。

バックミラーのモニター化は、スマート・ルームミラーとしてすでに量産化されています。これは従来のバックミラーと同じ位置に取り付けられるものです。ノブを動かすことで、普通のミラーとモニターを切り替えることができ、モニターでは見ることのできない後部座席の様子を確認することもできます。逆に、ミラーの場合にはピラーや座席のヘッドレストなどが後方視認を阻害しますが、モニターの場合にはそういったものがなくなります。また、雨天時や薄暮時、夜間など交通事故が多い環境下での視認性が良くなるというメリットもあります。

 

─これからの開発ではドアミラーもモニターに置き換わるのですか?

次のステップとしてドアミラーをカメラに替えていきます。現在のドアミラーは見えなければいけない範囲が規定されているので、これ以上小さくすることができません。これをカメラとモニターに替えることで小さくすることができます。また、カメラは低い位置につけることができるので、前方の直接的な視界を確保しやすくなります。これによる1 つのメリットは、空力抵抗を抑えられ、燃費が良くなりCO2 の排出量を削減できることです。もう1 つのメリットは、これまでドアミラーがあることによって見えなかったミラーの先の部分が見えるようになることです。交差点の左折時の前方に歩行者がいたり、前方に小さい子どもがいた場合の危険性が低くなります。

サイドミラーの代替となるカメラと、それを洗浄するノズル



 

─カメラをつける最適な位置は現在のドアミラーの部分になるのですか?

現在の開発では、ドアミラーに近い位置に設置しています。その他に候補となるのが (フロント)フェンダー付近です。ドアより前の部分に付けることで見える範囲が広がるというメリットがあります。昔はフェンダーミラーというものがあり、死角は少なかったのですが小さくて見えづらいものでした。モニターは車内に置くため視認性は良くなります。

一方で、フェンダー部分にカメラをつけることによるデメリットもあります。サラウンドビューなどクルマを俯瞰するような見方をする場合、前後左右の4 カ所に付けられたカメラの映像を組み合わせて表示します。そうすると、左右のカメラはドアミラーの位置にあると、側方が視認しやすく、映像の補正が簡単になります。

 

─カメラの位置とモニターの場所のずれによる見づらさはありませんか?

実際に運転してみると、すぐに慣れます。しかし、クルマの車体がモニターに映っていないと違和感を感じることがあります。このようなモニターを見るときの基準となるポイントがあれば見づらさを解消することができます。また、左側方のカメラを右寄りのモニターに表示したりすると慣れるのにも時間がかかるので、現段階では、左側方のカメラはセンターラインより左側に、右側方のカメラはセンターラインより右側にモニターを置くようにしています。

 

─今後はミラーの代替だけでなく、ディスプレイに警告表示などもできるようになるのですか?

そうですね。現在はカメラで撮ったものをそのまま表示しているのですが、それではデジタルであることを生かしきれていません。カメラで撮った映像は人が見るだけではなく、コンピューターが見て画像解析をすることで、車両接近などの警告も出すことが可能です。さらに、モニターに映っていない範囲もカメラは見ています。特にルームミラーは横長ですが、カメラはもっと広い範囲を認識しているので、例えば高速道路でもっと広範囲を見渡せる表示方法にしたり、ウインカーを出して右左折するときに、その方向への画角を広げたりなどもデジタルならではの技術としてできるのではないかと考えています。

 

─その他に開発で苦労した点などはありますか?

現在販売されているスマート・ルームミラーは、リアウインドウの内側にカメラが付いており、カメラ自体が汚れることはありません。しかし、サイドミラーなどは外に露出するためカメラが汚れる場合があります。ヴァレオがセンサーを洗浄液や空気を射出することで洗浄するシステムを開発しており、それをCMS に取り入れることで、カメラが汚れているときや、寒冷地などで水分の凍結が起こった場合などでも、カメラが機能するようにしています。このように、ただ映すことだけで評価するのではなく、カメラを支える技術も必要不可欠で、市場化する場合の実現性を考えて付けています。

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