“スズキらしさ”重視し、陸海空のモビリティ展開。CN達成に新エネ事業も【JMS2023】
2023/11/10(金)
スズキはジャパンモビリティショー2023で、四輪車・二輪車のコンセプトモデルをはじめ、パーソナルモビリティや電動船外機、空飛ぶクルマなど、多様なモビリティを展示した。また、将来のカーボンニュートラルに向けては「マルチパスウェイ」で挑むとし、同社がインドで取り組みCBG事業についても言及した。
EVから次世代モビリティまで「スズキらしいモビリティ」を
鈴木俊宏社長(以下、鈴木社長)は、新型EVの数々を紹介。初めに挙げたのが、2023年1月にインドの「Auto Expo2023」でも公開された「eVX」だ。「EVの先進性、洗練さ」と「SUVの力強さ、冒険心」を掲げ、スズキのEV世界戦略車の第1弾として位置づけられている。これからEVを購入する層に向けては、「今まで通り使える安心感」と「EVならではの快適さ・楽しさ」の両立を目指した「eWX」の世界初公開を行った。
小型モビリティでも世界初出展の機種が並んだ。新たな車両区分である特定小型原動機付自転車を想定した一人乗りの電動モビリティとして、「SUZU-RIDE」と「SUZU-CARGO」の2車種を公開。電動キックボードのような手軽さを意識しつつ、四輪ならではの転倒しづらい安定走行を実現したモビリティだ。
「お客様の困りごとを解決する」役割のモビリティとして紹介されたのが、次世代四脚モビリティ「MOQBA(モクバ)」だ。4本の脚の先に車輪を搭載した独特な形状は道路の移動だけでなく、階段・段差の上り下りでもシームレスに対応できるという。
そのほかにも、シニア向けの新しいモビリティ「SUZUKI GO!」や、2000年代に販売されていたスクーター「スズキ・チョイノリ」をベースにした電動スクーター「e-choinori(イーチョイノリ)※1」、折りたたみができる原付一種相当の「e-PO(イーポ)※2」など、二輪・四輪から小型モビリティまで、利用者の活用シーンに応じた多様なラインアップを紹介した。
※1 ※2:「e-choinori」と「e-PO」はパナソニックサイクルテックと共同開発を行っており、バッテリーと駆動ユニットは同社のものを採用している。
「SUZUKI GO!(左)」と、右写真の左から「e-choinori」と「e-PO」
海と陸でも新展開
陸を走るモビリティに続いて紹介されたのが、海と空におけるスズキの取り組みだ。操作用ハンドルが本体に収納できる電動船外機「Small e-outboard concept」は、運びやすさやメンテナンスの容易さが特徴に挙げられる。軽自動車に積み込めるほどコンパクトな上、電池はポータブル電源として活用でき、アウトドアのアクティビティなど利用シーンは幅広い。
空の分野では、2023年6月からSkyDriveと協業を開始した「空飛ぶクルマ」について言及。スズキが静岡県内に保有する工場で2024年春ごろから製造に着手し、2025年の大阪・関西万博での飛行を目指す。
カーボンニュートラル達成はマルチパスウェイで
鈴木社長は、取り組みを推進しているカーボンニュートラルについても言及し、「さまざまな電力事情がある中、バッテリーだけで補おうとするのは現実的とは言えない」と指摘。CNG(圧縮天然ガス)車の導入や、バイオマス資源の活用などにも着目しているという。具体的な取り組みとして紹介したのが、インドで行うCBG(圧縮バイオメタンガス)事業だ。同事業では牛ふんを発酵させて発生するバイオメタンガスを精製し、CNG(圧縮天然ガス)に代わる自動車燃料を製造する計画だ。ジャパンモビリティショーでは、5月の「G7広島サミット」に合わせたイベントで出品した、インド市場向けの「ワゴンR CBG車」を展示した。
鈴木社長は、「新しいモビリティへの挑戦においても、カーボンニュートラルへの取り組みは欠かせない」と語った。その上で、「EVはもちろん、CNGやCBG、水素など、マルチパスウェイでのカーボンニュートラルの実現に挑戦する」との姿勢を示した。