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JR西日本、次世代バイオディーゼル燃料導入に向けた実証実験実施

2022/8/26(金)

西日本旅客鉄道株式会社(以下、JR西日本)は、ディーゼル車両※1への次世代バイオディーゼル燃料※2導入に向けた実証実験を、同社エリアを中心に実施する。8月24日付のプレスリリースで明かした。

※1 気動車やディーゼル機関車といった軽油を燃料としてディーゼルエンジンで動く鉄道車両
※2 軽油と成分がほぼ同等であるため、軽油からの100%置換が期待されるバイオディーゼル燃料(プレスリリースより)

JR西日本グループでは、2021年に環境長期目標「JR西日本グループ ゼロカーボン2050」を策定し、2050年にグループ全体のCO2排出量「実質ゼロ」とすることを目指した取り組みを行っている。

公益財団法人鉄道総合技術研究所とJR7社は、国土交通省が公募した「鉄道技術開発・普及促進制度 2022年年度新規技術開発課題」(鉄道車両におけるバイオディーゼル燃料の導入に向けた技術開発)に共同提案した。今回の取り組みは、共同提案した計画が採択されたものだ。

軽油と次世代バイオディーゼル燃料は、使用時のCO2排出量がほぼ同じだ。しかし、次世代バイオディーゼル燃料では、原料となる植物等の成長過程で光合成により吸収したCO2と燃焼時に排出するCO2が相殺される。そのため、CO2排出量が「実質ゼロ」とみなされる。

同実証実験では、エンジン性能確認試験、走行試験、長期走行試験を実施する。エンジン性能確認試験では、エンジン単体で試験を行う。軽油と次世代バイオディーゼル燃料の混合率5%から開始し、段階的に100%に引き上げ、軽油を使用した場合との差異を確認する。

走行試験では、試運転列車に次世代バイオディーゼル燃料を100%使用し、1日1往復で試験走行を行う。通常期・夏期・冬期の3シーズンで各1カ月程度実施し、気温の影響を確認する。

長期走行試験では、複数の営業列車に次世代バイオディーゼル燃料を100%使用し、1車両あたり1日200km程度を走行する。燃料消費量の変化や品質レベル、営業列車に使用できる安全性・安定性が担保できるかを確認する。

また、今回の実証実験は、山陰線等、主にディーゼル車両が走行する線区での実施を検討している。次世代バイオディーゼル燃料を常時100%使用する本格実装に向けた長期走行試験を行うのは、鉄道事業者では初の試みだ。

なお、同社は、次世代バイオディーゼル燃料の使用拡大により、社会全体でCO2のさらなる削減が図られることを期待しているという。そして、スケールメリットにより燃料調達コストの低下が図られ、さらに次世代バイオディーゼル燃料の普及とCO2削減が進んでいく好循環が生まれることを期待していると述べている。

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