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【北海道・上士幌MaaS】福祉バスの貨物輸送や、郵便集配車の貨客混載など検証

2020/12/2(水)

画像:Adobe Stockより

令和2年度「スマートモビリティチャレンジ」の採択地域である北海道上士幌町は、上士幌MaaSプロジェクトの取り組みを開始。11月27日にその概要を発表した。

福祉バスのデマンド化による利用拡大、福祉バスでの貨物輸送による収入確保、自家用有償旅客輸送での新たな輸送サービス、域内物流事業者の配送車を活用した旅客輸送/貨客混載の4つの検証を行う。
北海道・上士幌町は、中山間地域に位置する人口およそ5,000人の町で、約700平方キロメートルもの土地を抱えている。町民の自動車保有台数は1人当たり1.16台と高齢者も含めて自家用車への依存度が高い状況だ。

町は高齢化の進行に伴い、公共施設の市街地中心部への集中化(上士幌セントラルベルト構想)などコンパクトシティへの取り組みを進行中で、市街地郊外や農村地域に住む子どもや高齢者といった交通弱者の移動の利便性を高めていくことを重要課題に掲げる。また、コロナ禍で高まっている配送サービス需要と移動サービスの効率的な運用や、既存の物流業者と移動サービスを掛け合わせた仕組みを検討していく必要があるとしている。

■実証実験の詳細

前述の課題解決に向けて、4つの実証実験を実施し、検証を行う。

【実証実験1】福祉バスのデマンド化による利用拡大(10月~12月) 福祉バス4路線のうち利用頻度の低い郊外線2路線を利用日、利用時間を選べるようデマンド化し、自宅前に仮想バス停を設置し、自動ルート化を行い、住民の利用拡大を図る。また、予約システムを導入して事前予約制にすることで空き時間を可視化し、空き時間を配送サービスに活用する。

80代から90代の高齢者がタブレットから予約操作ができるUIを開発。実際の導入を想定してコールセンターを配置せず、電話予約なし・タブレット予約のみで運用する。

【実証実験2】福祉バスでの貨物輸送による収入確保(11月~12月) 住民がスーパーで購入した商品を、上記の実証で可視化した福祉バスの空き時間を使って配送する。将来的には複数の商店や薬局などからの手数料収入を得ることを想定し、ビジネス化を見据えた検証を行う。

【実証実験3】自家用有償旅客輸送の実施による新たな輸送サービスの検証(11月~12月) 福祉バスに乗れない65歳以下の町内在住者にとっても、滞在者・観光客にとっても、現在上士幌町には自家用車(レンタカー)とタクシーの間をつなぐ移動サービスがない状況だという。

そのため、日曜日の域内限定で、タクシー料金の半額以下で利用できる住民ドライバーによる自家用有償制度を活用した移動手段を導入し、価格とサービスレベルの受容性調査、町内唯一の交通事業者であるタクシー会社(上士幌タクシー有限会社)で配車システムの検証を行う。

【実証実験4】域内物流事業者の配送車を活用した旅客輸送/貨客混載 (12月第2週・第3週) 日本郵便株式会社(上士幌郵便局)と協力し、デマンド型福祉バスの予約システムを活用したスキームによって、集配車の助手席に人を乗せる貨客混載の実証実験を行う(無償ボランティア輸送に該当する)。

デマンド化した福祉バスが走っている萩ケ岡地区の萩ケ岡簡易郵便局に設置したポストの収集時間に合わせて、あらかじめ登録されている予約者のみ乗車可とし、市街地にある上士幌郵便局および走行ルート上の2カ所で降車できるようにする。

貨客混載の実証は、関係法令の確認、各関係機関との調整を行い、上士幌町が日本郵便の協力で実験に関する契約を取り交わした上で、実証実験期間限定で実施できるもの。

■参画団体と実施体制

上士幌町 ・実証実験の統括・マネージメント
株式会社TKF ・オンデマンドバス予約システムオペレーション支援
・自家用有償旅客運送オペレーション支援、車両提供
順風路株式会社 ・オンデマンド 交通システムの提供
・オンデマンド 交通システムの運用
株式会社MaaS Tech Japan ・高齢者向けタブレット端末の UI 設計
・高齢者向けオンデマンドバス予約アプリケーションの開発
・新たな輸送サービス配車導入および配送車輸送とのシステム連携
・データ分析・課題取りまとめ

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