特集

ドライブレコーダーを安全運転の指導に活用 業務効率アップにも貢献

2021/10/5(火)

【特集:ドライブレコーダーの進化に迫る】

株式会社デンソーテン(以下、デンソーテン)は営業車両などの社有車を主なターゲットに、通信型ドライブレコーダー「G500Lite」のサービス展開を行っている。クラウドサーバーと連携して、車載器で録画した事故やヒヤリハットの映像を、AIが自動で抽出する機能などが特徴だ。

取得したヒヤリハットなどの映像は、G500Liteの導入企業で、安全運転教育などに活用されている。そのほかにも、走行データから運転日報を自動作成する機能もあり、業務効率のアップにも貢献できる。

株式会社KANSOテクノス(以下、KANSOテクノス)は、社有車による労働災害、つまり交通事故を防止するためにドライブレコーダーを役立てている。環境・土木・建築とさまざまな現場に出向く企業ならではの活用方法と、事故防止の取り組みについて、同社の安全部に所属する尾崎克之氏と川端勝司氏に話を伺った。

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■あらゆる現場に向かう会社として

――まずはKANSOテクノスの事業内容を教えてください。

尾崎氏:KANSOテクノスは、主に環境・土木・建築の事業分野からなる総合エンジニアリング企業です。環境調査や、インフラ・建築物の施工・維持管理などを行っており、山や川、海や都市など、あらゆるフィールドが現場になります。

――現場に向かう際は、社有車で移動しているんですか?

尾崎氏:そうですね、レンタカーを使う場合もありますが、基本的に社有車で現場に向かいます。業務の内容上、少人数で行動することが多いので、トラックなどの大型車両ではなく、乗用車による移動が主です。

KANSOテクノスが業務に使用している社有車

KANSOテクノスが業務に使用している社有車
(写真提供:KANSOテクノス)



――会社全体でどれくらいの社有車があるんですか?

川端氏:約170台保有しています。部門ごとの比率でいうと、支店が多い土木部門が全体の70%くらいを占めていて、残り30%を建築部門と環境部門が保有しています。

――現場で仕事をしている方々は、一日にどれくらい運転しているんでしょうか?

川端氏:本社も各支店も、現場まではおおむね車で1時間くらいです。一日の運転時間でいうと往復でおよそ2時間程度になります。片道2時間以上掛かる遠い現場の場合は、各部署や支店の判断ですが宿泊してもらったり、こまめに休憩を取るように指導したりしています。

■ヒヤリハット集を共有して、安全運転意識の向上を

インタビューの様子

インタビュー中の川端氏(左)と尾崎氏(右)



――G500Liteを導入したのはいつごろですか?

尾崎氏:一年ほど前ですね。もともと10年ほど前から他メーカーのドライブレコーダーを使用していて、昨年G500Liteへと入れ替えました。

――10年前というと、世間的にはドライブレコーダーの普及が進んでいない時期でしたよね。どのような目的で導入したのでしょうか?

川端氏:弊社は建設業務などに携わる会社ですから、労災発生のリスクが高い作業も多いです。労災の防止に向けた取り組みは非常に重要な課題だと考えていて、その中で社有車の交通事故防止にも取り組むため導入しました。

――ドライブレコーダーの映像を事故防止に活用しているということですか?

尾崎氏:急ブレーキや急発進などの危険な運転をした場合、ドライブレコーダーのシステムがそれを検知しますよね。それらの映像データを「ヒヤリハット集」として、毎月取りまとめています。ヒヤリハット集は、本社や各支店、さらには請負企業にも共有して、従業員全員に周知するようにしています。

川端氏:ヒヤリハットの取りまとめはG500Liteの導入以前から行っていて、われわれ安全部の重要な業務として今も継続しています。危険運転について気付きを促したり、交通安全教育に生かしたりする資料として役立てています。

ヒヤリハット映像解析

ヒヤリハット映像解析
(資料提供:デンソーテン)



■運転日報の自動化で、業務負担を軽減

――既存の機種からG500Liteへと切り替えるにあたって、どのような点が決め手になったのでしょうか?

尾崎氏:実は、切り替えに至ったのは、既存機種のメーカーがドライブレコーダーの事業から撤退したことがきっかけなんです。そういった中でできるだけ従来の使い方を続けたいと、他社のいろんな機種を比べてみました。さまざまな比較検討をしてみたところ、G500Liteの機能や操作方法などが当社の使用目的に一番合っているとの結論になりました。そのほか、コスト面なども含めた総合的な判断をして、導入することに決めました。

――「御社の使用目的」というお話についてもう少し詳しく教えてください。例えば、先ほど挙げていただいたヒヤリハット集の作成などですか?

川端氏:安全部としてはそれが第一です。ドライブレコーダーを導入した目的はなんといっても交通事故防止のためですから。

尾崎氏:そのほかにも管理面のメリットがあります。社有車の管理は、われわれ安全部ではなく企画総務部の管轄で、社有車が走った距離や時間のデータを1台ずつ集約し、管理しています。この情報をもとに、社有車の更新や廃車の時期を検討しているんです。

――その走行データをドライブレコーダーから収集しているんですか?

川端氏:G500Liteの導入以前は、手書きの運転日報を運転前後に記入していて、それを取りまとめる作業が毎月発生していました。G500Liteには車両ごとの走行結果を運転日報として自動で出力できる機能があり、導入後はその機能を活用しています。
従来の手書きの書類ではどうしても書き忘れや計算間違いなどがありましたが、電子化することで大きく改善しました。

運転日報画面サンプル

運転日報の画面サンプル。走行結果を車両ごとに反映できる。
(資料提供:デンソーテン)



尾崎氏:もう一つ、やはり現場の手間が減った点も大きいですね。現場で多くの業務を抱える社員の身になると、毎日手書きしていた書類が自動化されるのですから、大きな負担軽減になっていると思います。実際に、現場からは非常に楽になったとの声をよく聞きます。

■座学と実技の組み合わせで教育

――そのほかにも、安全運転のために社内で取り組んでいることがあれば教えてください。

川端氏:労災防止の一環で、交通事故防止についても具体的な対策を毎年考えて年度計画に盛り込んでいます。例えば2年前は、バック中に自損事故を起こす割合が高かったので、同乗者がいる場合は、同乗者が車を降りて後方確認をするように徹底しました。

尾崎氏:今年度だと、「運転する前に、まずは深呼吸を」と掲げています。焦って運転するのではなく、落ち着いて周りを見て運転してほしいとの思いから、このような指導をしています。

――運転に苦手意識を持っている人も多いですからね。それに関連して、新入社員に対する教育などはどうしていますか?

川端氏:当社では、社有車を運転するには社内講習で認定を受ける必要があります。さらに、その前に講習に参加しても問題ない技量かどうか、各事業所に配置した安全運転指導員が社員の指導にあたっています。

尾崎氏:指導員になるにも別途養成講座を経て認定を受ける必要があって、基本的に管理職が就いています。部門より細かい単位であるグループごとに1人から2人配備するようにしています。また、人事異動の際にも、グループに指導員が不在にならないように注意しています。

――非常に手厚い指導体制ですね。実際、ここ最近の新入社員は、運転が不慣れな人は多いでしょうか?

川端氏:確かに昨今は、学生時代に運転免許を取得してもあまり運転した経験がないまま就職する場合も多いです。そうした傾向を踏まえて、先に述べたような段階的な運転の指導教育を行っています。会社の看板を掲げた社有車で万が一事故を起こしたら、会社の信頼にも影響が出ますから。

――単に「気を付けろ」とだけ言って運転者任せにするのではなく、傾向を把握して具体的な指導にあたっているんですね。

川端氏:やはり安全運転を徹底するには座学だけではなくて、実地訓練で技量を身に付けることも大切です。座学と実地をうまく組み合わせていくことが重要だと考えています。

尾崎氏:ドライブレコーダーから収集したヒヤリハット集の共有などを通じて意識を高めて、具体的な年度計画や社員教育まで、会社全体でしっかり安全運転への取り組みを行って、今後も事故防止に努めていくつもりです。



【後記】
「注意して運転しろ」と言うのはたやすい。しかし、安全運転意識を向上させるには、具体的な施策を地道に積み重ねることが何より重要だ。実際に、これまで取材してきた企業は新人教育や危険予知トレーニングなどに継続して取り組んでいる。こうした企業の取り組みを、各企業が事故防止に向けて取り組む際の参考にしてもらえると何よりだ。

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