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市街地用無人移動システムに求められる技術と可能性 LIGARE ビジネスセミナー

2017/11/16(木)


障害物を回避する技術

車線維持制御ができれば、出発点から目的地まで経路を地図通り走ることができます。しかし、障害物などが出てきた場合、それを回避しなければなりません。障害物回避制御は主に2つの方法があります。

 

カメラ、LIDAR、ダイナミックマップを用いた走行環境認識の様子



1つは、LIDARとGPSと3次元地図を使ったローカルダイナミックマップという方法です。

LIDARとGPSにより周辺環境を認識し、進行方向のパスの障害物を地図と照合しながら抽出する方法です。

もう1つは画像を使って障害物を回避しようとする方法です。これまで数々のコンピュータビジョンが試されてきましたが、自動運転のための物体認識は非常に難しいものでした。最近ではディープラーニングにより障害物を検知することができるようになるということが分かってきています。

 

NVIDIAの自動運転車「BB8」。
ディープラーニングを活用している。



このように、自動運転を実用化するためのカギとしては、高分解能な3D LIDARやHDRカメラなどのデバイスと、ディープラーニングと点群データ認識を行うAIがあり、この組み合わせによって無人化に一歩近づくのではないかと思っています。

 

デバイスの限界

しかし、自動運転のために現在使われているLIDARは実用化できません。最大の理由はサイズが大きいことと、価格が高いことです。10万円単位の価格にならないと実用化は難しいと考えています。また、一般道では50m~60m先のデータが取れる高分解能な3D LIDARが必要なのですが、まだ実用化できるレベルではありません。

 

LIDARで周辺環境を認識する様子。
50m先にいる人間は判別できないほどしか点群データが取れない。



カメラに関しても、照度変化や環境変化に対しロバスト性※が低いのが課題です。西日や夜間に周囲が認識できないことがよくあります。最近では、高ダイナミックレンジ化や高感度化が進み、真っ暗なところでもほとんどノイズがなくカラー画像が撮れるカメラがデてきており、期待できる技術になっています。

 

無人運転バスの実現に向けて

私たちが考えている無人運転バスのコンセプトは、基本的には自律走行であるAIとインフラ、そして人間によるリモート管制の3つを組み合わせることで公道での無人運転を実現しようとするものです。装置構成は、LIDARはまだ課題が多いため6~7個付けています。これでも本当の無人運転には足りません。

 

2020年にはスパコンは1つのチップになるでしょう(加藤氏)



オープンソフトウェアのセンサーはユーザーの希望に対応できるようにしている。「画像処理のチューニングや改善はダウンロードした方にお願いしています」(加藤氏)



カギとなるのは、制御ECUです。全てのモノが故障してもクルマが安心して止まるための最低機能を持つことが大切です。コンピューターが壊れても安全性・信頼性を確保する、フェールセーフ用のコンピューターが自動運転には必須な技術になると考えています。

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