【PR】「MaaSを振り返るセミナー 第2弾」開催 JR東、西鉄、JR西、東京メトロがMaaSを語る
2025/3/24(月)
LIGARE運営会社の関連会社でモビリティ・交通関連の事業開発とコンサルティングを行うAMANEは3月5日、都内で「MaaSを振り返るセミナー 第2弾」を開催した。JR東日本(以下、JR東)、西日本鉄道(以下、西鉄)、JR西日本(以下、JR西)、東京メトロの担当者が登壇し、これまで各社が進めてきたMaaSを振り返りながら、今後の展望を語った。
セミナーは東京都港区赤坂の「赤坂プラスタ」でのリアル開催に加えてオンライン上でも同時配信。企業や地方自治体、研究機関の関係者ら約230人が受講した。
セミナーは東京都港区赤坂の「赤坂プラスタ」でのリアル開催に加えてオンライン上でも同時配信。企業や地方自治体、研究機関の関係者ら約230人が受講した。
MaaSを移動からくらし全般、社会システムへ進化させる
最初にJR東のマーケティング本部 Suica・決済システム部門MaaSユニット ユニットリーダーの伊藤健一氏が講演。Suica、交通系ICカードをはじめとした移動領域でのデジタル化推進の取り組みや今後の施策について紹介した。JR東では、MaaS事業として事業者・自治体連携による移動領域のデジタル化推進、移動をより便利にするためチケッティングや情報提供にも注力してきた。
今後はMaaS事業を「くらし領域」に拡大・統合することで「社会システム」として進化させ、地域課題の解決と生活コストの削減に取り組んでいくと伊藤氏は述べた。具体的にはマイナンバーカードとの連携による公共サービス・事業DXを実現する。また、今後予定している施策としてSuicaのコード決済サービスを26年秋に、ウォークスルー改札を10年以内に実現させる考え。移動はもちろん、生活全般を支える基盤の構築を図っていく。
のるーと目標は「経路検索の候補に表示」
続いて、西鉄の自動車事業本部未来モビリティ部 部長の日髙悟氏が講演。バス事業を中心としたMaaSの取り組みを紹介した。三菱商事と共同出資したネクスト・モビリティ社によるAIオンデマンドバス「のるーと」を九州ほか全国で展開して、事業スキーム提案を進めており、現在は全国53カ所で導入されている。今後も「経路検索サービス上に移動手段の候補として表示されることを目標に取り組んでいる」と日高氏は展望を示した。
また、「九州MaaS」について紹介した。九州の事業者と自治体が協力して、公共交通や、交通とも密接に関係する観光の課題解決を図る取り組み。25年2月時点で104団体が加盟し、グランドデザインに沿って30年の高度なMaaSオペレーション実装を目指している。
この他、自動運転バスや完全キャッシュレスバスの実証の取り組みについて説明した。キャッシュレスバスでは実証を25年度末まで実施し、現金比率5%未満、現金取り扱いによる乗降時間の増加を防ぎ、定時性のさらなる向上を目指していく。
MaaSで交通の需給アンバランスを解消
続けて、JR西のデジタルソリューション本部 担当部長 神田隆氏が講演。同社が取り組む地方型MaaS「WESTER」、観光型MaaS「tabiwa」、都市型MaaS「KANSAI MaaS」の各種アプリのアップデート内容について紹介した。取り組みの一つとして今年1月に「KANSAI MaaS」においてQR乗車券の相互利用を始めた。関西地区のQR乗車券はJR西とスルっとKANSAI協議会の2者が発行しているが、今回の連携により、1つのQRコードで両者の改札機が利用できるようになった。
また、神田氏はMaaSの意義について「交通の需要と供給をいかにマッチングするか」と説いた。現在の需要と供給のアンバランス解消を図るため、JR西では鉄道輸送の役割に加えて持続可能な地域のモビリティに向けた施策を進める考えとした。
東京の魅力向上へ移動需要創出する
最後に、東京メトロの鉄道本部CX・マーケティング部 部長 川上幸一氏が登壇。鉄道、公共交通の利用率が高い東京で、どのような思考・戦略で施策の展開を行っているか説明した。同社では課題を「トリップ(外出)数の減少」とし、安心の提供を土台に移動需要の創出と東京の魅力向上を循環させていくことがMaaSに取り組む意義と捉えていると川上氏は解説した。
川上氏は、これまでに公式アプリ「東京メトロmy!アプリ」で列車混雑計測システムや複雑な駅構内の案内機能を搭載し、安心な移動を提供してきたと紹介。また、東京での体験価値を上げて移動を活性化させるため、沿線の事業者や、直通運転を行う鉄道事業者と連携。「昭和歌謡名曲の旅スタンプラリー」などのユニークなキャンペーンを実施し、注目を集めているとした。今後もデータの詳細分析を行って顧客の解像度を高め、目的地側の連携先を増やし東京の魅力向上と移動需要の創出に取り組んでいくと話した。
パネルディスカッション MaaS推進へ
講演後はパネルディスカッションを実施。AMANEの井上佳三代表がモデレータとなり、伊藤氏、日高氏、神田氏、川上氏が意見交換した。MaaSに取り組む上での課題について話題に上がり、マーケティングに必要なデータをいかに取得するか、公共インフラの維持を民間が中心となって担うことの難しさをどう解消していけるかといった点が挙げられた。この他MaaSの在り方など今後に向けて活発に意見を交わし、各社の施策を着実に推進していくことを確認した。当日の配信動画(プレミアム会員コンテンツ)はこちら
https://ligare.news/movie/seminar-movie-20250305/
AMANEは「モビリティ産業を活性化する基盤構築へ – Japan Mobility Data Space(JMDS)が実現する新たなデータ連携の世界 -」を3月31日に開催予定だ。
詳細はこちらから。