NEDO×日産×兼松 米国のEV実証事業でアプリを利用する充電予約サービスの提供 超高速充電器も導入
2019/4/3(水)
国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下、NEDO)と日産自動車株式会社(以下、日産)、兼松株式会社(以下、兼松)は、米国カリフォルニア州でのEV実証事業において、超高速充電器の「CHAdeMO(チャデモ)」を導入して運用を開始し、あわせて、EVドライバー向けスマートフォンアプリ「DRIVEtheARC」に、充電ステーションでの充電予約機能を追加したと発表した。
カリフォルニア州は、2030年までに500万台のZEV(Zero Emission Vehicle)普及を目標に掲げ、州内で一定台数以上の自動車を販売するメーカーに対して、一定比率のEVやプラグインハイブリッド車などの販売を義務付けている(ZEV規制)ほか、EV購入者は優先レーンの通行許可が得られるといった優遇措置を充実させ、現在米国において自家用EVの販売台数が最も多い州となっている。一方、EVの普及が進む同州であっても、EVは充電インフラが比較的整備されている都市部での近距離移動などを主とする、限定的な使われ方をされているのが現状だ。このような背景のもと、NEDOのプロジェクト「エネルギー消費の効率化等に資する我が国技術の国際実証事業/米国加州北部都市圏におけるEV行動範囲拡大実証事業」において、日産と兼松は、米国カリフォルニア州で、急速充電網の整備とリアルタイム情報サービスの提供を通じてEVの利用頻度向上と行動範囲拡大を目指す実証事業に2015年から取り組んできた。2017年11月14日には、海沿いのモントレーから山間部のレイクタホまでの約530キロメートルの区間内の25カ所に出力50kWのEV用急速充電器55基を設置し、実証事業を本格始動した。
そして今回は、EVドライバー向けに提供しているスマホ用リアルタイム情報アプリ「DRIVEtheARC」に特定の充電ステーションで充電予約ができる機能を追加し、提供を開始した。スマホアプリからの事前利用予約により、利用者が増加している都市部の充電ステーションでの充電時の混雑緩和を目指すとともに、充電器の予約から利用までのEVドライバーの行動を分析することで、EVの快適な利用環境と利用距離延伸の可能性を探る。
また、今後のEV車載電池の大容量化を踏まえ、日本発の充電規格「CHAdeMO(チャデモ)」に対応した超高速充電器を1基設置した。これにより、EVの充電時間のさらなる短縮を図る。超高速充電器の出力は、EV車載電池の受電性能と充電器維持費の効率性を考慮して、既設充電器の2倍となる100kWとし、市場の状況に応じて今後の出力増強も視野に入れる。さらに2019年5月に、同様の超高速充電器を1基追加設置する予定。大容量で超高速充電が可能な電池を搭載するEVと、超高速充電非対応の中・小容量電池を搭載するEVの運転・充電行動を比較することで、電池容量の違いを考慮したEVの運転・充電行動の多面的な分析が可能になる。
今後三者は、異なる電池容量のEV運転・充電行動に対して「DRIVEtheARC」が与える影響の分析や、運転・充電行動データの集積と分析を進めることで、充電ステーションの混雑予想情報の精度を高め、全体最適案内の機能拡張を行う予定。また、EVドライバーの運転行動統計情報など、本実証事業で得た情報を通じて、日産と兼松は、EVのリアルタイムデータの蓄積やビッグデータビジネスの検討を進める計画だ。