日本工営、先進MaaS実現目指すデータ利活用事業の実施プロジェクト決定
2021/8/27(金)
大手建設コンサルタントの日本工営株式会社が8月24日、公共交通や物流、モビリティデータなどを利活用し、高度なMaaSの実現を目指す「地域や業種をまたがるモビリティデータ利活用推進事業」の実施プロジェクトを3つ決定したと発表した。プロジェクトの主宰者はそれぞれITサービス大手やトヨタの系列会社を傘下に置く交通事業者などで、実用性の高い交通サービスの実現に期待がかかる。
日本工営は、事業多角化の一環として、自動運転などモビリティ事業に参画。2021年度は、東京都からの委託で自動運転関連のプロジェクトを2つ公募したほか、経済産業省から「無人自動運転等の先進MaaS実装加速化推進事業」を受託し、事業プロジェクト実施者を募集していた。今回実施プロジェクトが決まったのは後者の事業だ。選定されたのは、ITサービス大手の日本ユニシス株式会社と株式会社MaaS Tech Japan、株式会社SEEDホールディングスのプロジェクト。それぞれモビリティデータを分析し、ビジネスへの応用を図る試みだ。
地域アプリなどで集める移動データの提供可能性を探る日本ユニシスのプロジェクトは、利用者側がどのくらいデータ提供を受容するかを検証するほか、移動データの利活用実用化に向けた課題と持続的なビジネスモデルを検証。MaaS Tech Japanは、モビリティデータを活用した異業種連携ユースケースの整理と具体化などを行い、企業や自治体へのヒアリングから、異業種連携の実現性と受容性検証を進める。
福岡トヨタ自動車を傘下に持つSEEDホールディングスは、地域の統計データ、車両コネクテッドデータに目的地別の口コミデータを組み込んだ外部データ基盤を活用するとともに、地域MaaSサービスの利用者データを掛け合わせて分析。分析結果をもとに、利用者目線から地域の課題やMaaSサービスの課題を可視化し、既存のMaaSサービスの改善を促す提案と施策の有効性を検証する。
それぞれのプロジェクトは一定期間実施された後、発注先の経産省などと成果を検証し、実導入に向けて検討を図るとみられる。