大阪商工会議所、第2回MaaS研究会を開催
2019/3/13(水)
大阪商工会議所は3月12日に同所で第2回MaaS研究会を開催した。研究会では第1回目の振り返りの後、株式会社日本総合研究所(以下、日本総研)の井上岳一氏(以下、井上氏)、弊社代表取締役の井上佳三、幹事企業から西日本電信電話株式会社の石原晋也氏(以下、石原氏)が登壇した。最後に7つのグループに分かれてMaaSについてのアイデア出しと討論が行われた。
最初に日本総研の加藤彰氏から第1回研究会の議論振り返りおよび論点整理があった。第1回目では2025年日本国際博覧会協会の平野剛氏から「万博会場で待ち時間ゼロを掲げたい」「ピーク時に想定される来場者5.9万人/時をどう輸送するかが大きな課題」などの話があった。参加者からは欧州の事例ではなく、「大阪らしいMaaSを打ち出したい」といった意見や、MaaSの実装に向けては「まずはLocalで、ScaleとInteroperabilityがポイント」といった意見が出たことについて振り返った。次に情報提供として、日本総研の井上氏が登壇。井上氏はMaaSの実装に向けて、「MaaSオペレーターは交通事業者ではなく、供給サイドと需要サイドの間に立ってユーザーにモビリティサービスを提供する存在」だとし、フィンランドのMaaSプラットフォーマーである小売チェーン「Kyyti」の事例を紹介。いろいろなベンダーがオープンAPIでアクセスでき、交通チケットの購入ができる環境が必要だとした。また、MaaSにつながるまちづくりの視点として、既存の交通手段をつなぐだけではなく、需要創造や需要最適化がパッケージされた「交通まちづくり」が必要だと話した。
弊社代表の井上は、人流と物流とサービスをオンデマンド化することがMaaSの特徴だとし、「目的地側の存在が必須で、必ず決済がセットになっている」と話した。また、移動で収益を得る方法として、「ダイナミックプライシング」「サブスクリプション」「移動時間=サービス時間」が鍵を握るとした。さらに、良品計画、PTVグループを事例にあげ、「MaaSが都市全体をコントロールするプラットフォームになる」と話した。
石原氏は持続可能な都市を支えるモビリティシステムについて発表。横浜国立大学のCOIサテライトの取り組みとして、端末交通の移動支援や、乗り合いシステムやサービスについて紹介した。石原氏は持続可能な交通システムのキーワードを「モビリティーとエネルギー」とし、非稼動時のEVから周波数デバイスとしての有効性を検証する実験について紹介。交通サービスとエネルギー制御の連携について、交通システムの財政的な持続可能性を高める新たなオプションだとした。
グループディスカッションでは「集まった企業同士で手を組んだらMaaSで何かできそうか」と題してグループごとに6個の案出しが行われた。所属する企業や地元の強みを生かした異業種混在ならではのアイデアを発表し、参加者で共有した。なお、第3回は3月27日に大阪商工会議所で開催される予定。