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パナソニックはどのような技術を武器に変化の波を捉えようとしているか  

2018/1/17(水)


画像処理や半導体開発でADAS・自動運転へ切り込む

特に、「ADAS・自動運転」領域に食い込む上で注目されるのはTVやデジタルカメラで培ってきた画像処理技術だ。夜間のシーンを鮮明化したり、濃霧や積雪の状況でコントラストを高めて画像をクリアにしたりする技術は、クルマが障害物や危険をより早く認識する上でのアドバンテージを提供できる。また、こうした画像をハード側、つまりカメラ側で処理ができれば、ソフトウェア側の処理負担を軽減することが可能だ。

パナソニックでは、民生で長年培った低コスト・低電力の技術を使った半導体(画像処理・検知LSI)も開発しているという。自動運転領域におけるディープラーニングには現在、GPU(画像処理ユニット)を使うことが主流になっているが、この低電力の半導体が開発できれば、GPUへの依存度を大きく減らすことができるという。

「GPUを使わないわけではないが、GPUにほぼ全体を依存して処理するよりも圧倒的に効率がよい仕組みをつくる。また、適切な画像処理をハード側ですることによって負荷を軽減することが可能。エネルギーもコストも小さくできる」

そのほか特徴的なところでは、ソナーを活用し、音波のデジタル変調技術を使うことで従来は検出が難しかった路上の細いポールなども検出できるようになった。さらに民生で培った技術としては、レンズやミラーを高い精度で加工する光学系の技術もダッシュボード裏に設置する小型のヘッドアップディスプレーなどを作る際に生かされるという。

未来像の中でテクノロジーをどう生かせるか

昨年10月に報道陣に公開した自動運転EVコミュータにはステレオカメラとLiDAR、全周囲カメラ、1周波RTK-GNSS受信機を搭載した。ただ、「LiDARを使わずどこまで走行できるかという点も実験している。LiDARは非常に高額なので、できれば使わずに、コストを抑えて自動走行ができる方法を探っていきたいと思っている」と、水山氏は言う。

この自動運転EVコミュータの試験走行の様子は公開当時、多くのメディアで取り上げられて話題となった。しかし、パナソニックではこの自動運転EVコミュータをそのまま市場に出して売っていこうというわけではなさそうだ。

「車両そのものを自分たちが作る意味があるかどうかは全く別の話。やはり基本的に我々が注力すべきはセンサーとか、コミュータを駆動しているパワーユニットとか、バックエンドにあるプロセッサーといった部分。それらを自動車メーカーさんが実際に使う立場で使いやすいかどうか、自分たちで車を作ることで車両の作り手側の立場で見ることができる。そういう意味のテストベッドというのがコミュータの位置づけ。我々は、センサーとか検知処理などのプロフェッショナルなソリューションに集中したほうが良いのではないかと思う」

その一方で、注視しているのは個々の技術にとどまらず、ライドシェアや街づくりも含めた大きなモビリティの未来像の中で、テクノロジーをどう生かしていけるかといった新規事業へのアイデアだ。

「コミュータを実際に作ってみることで、どんなバリエーションのモビリティが出てきそうなのか、いろいろな着想を得られるし、そこにおける課題も分かってくる」

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