SmartCityX、1年目の成果発表 JR東日本などが参加
2021/6/25(金)
スクラムスタジオ株式会社は6月23日、グローバル・オープンイノベーション・プログラム「SmartCityX」の1年目の成果を発表した。このプログラムでは、スマートシティをテーマに日本の大企業と世界中のスタートアップの事業共創を目指している。
「SmartCityX」は、2020年8月に開始したプログラムであり、世界20の国と地域から、多様な領域の95社のスタートアップが参画している。日本の大企業・自治体との事業開発に取り組み、1年目では6つの共創案件が生まれた。共創事業1つ目は、出光興産株式会社、スマートスキャン株式会社、三重県の行うスマート検診サービスだ。このサービスでは、オンラインで予約・問診~決済~結果通知まで完結するというものだ。6月10日から三重県・東員町にて、トレーラーを用いた移動式クリニックで実証実験を行う。その後、他地域のサービスステーション(SS)ネットワークでの展開を検討していく予定だ。
ライオン株式会社、東日本旅客鉄道株式会社(以下、JR東日本)、株式会社博報堂、株式会社エクサウィザーズの4社は、「衛生ステーション」構想を始める。目的は、街中での衛生的な行動を促すことだ。駅を拠点に衛生行動をモニタリングし、利用者がお互いに街の衛生状態を守りあえるような関係を目指す。今秋には、JR東日本が有する場を使っての実証実験を計画している。
あいおいニッセイ同和損害保険株式会社(以下、あいおいニッセイ同和損保)、東京都渋谷区は、防災アプリの開発に取り組んでいる。平常時は天候にまつわる小さな不便の解消等で日常利用を促し、災害時には避難所への避難行動を促すような仕組みを構築する。2021年度内にはプロトタイプを開発し、渋谷区内でPoC(概念実証)を実施する予定だ。
また、あいおいニッセイ同和損保は、福井県、福井県警察と共同で、テレマティクスタグを活用した地域の交通課題解決にも取り組む。県内ドライバーの運転データを取得することで、地域内の危険挙動が多いエリアを検出する。実証で取得したデータと警察が持つ事故データを掛け合わせて事故の発生を未然に防止するなど、先手先手の交通安全対策を目指す。
日本ユニシス株式会社、あいおいニッセイ同和損保、株式会社ジェーシービー、Miles、茨城県鹿嶋市、株式会社鹿島アントラーズ・エフ・シーは、地域の混雑解消を目指す。鹿島アントラーズのファンの多くは、自家用車でスタジアムに訪れる。このため、スタジアム周辺に混雑が発生しており、ファン・周辺住民の課題になっている。
具体的には、代替交通機関の利用や周辺店舗での消費等、スポーツチームを通じた鹿嶋地域産業の活性化を図る。事業者間・サービス間のデータのやりとりには、日本ユニシス提供のデータ流通基盤「Dot to Dot」を活用する。インセンティブの付与には米Miles社が提供するマイレージアプリが用いる予定だ。
JR東日本、あいおいニッセイ同和損保、Milesの3社は、移動情報に応じてリワードを提供するアプリ「JREAD」を共同開発した。このアプリにより行動変容を促し、データの地方創生への活用を目指す。2021年2〜3月に実証実験を実施し、アンケートやモニタリングを通じてサービスの受容性を確認した。
このほか、地域の持続可能なモビリティのあり方をテーマに、ウーブン・プラネット・ホールディングス株式会社とJR東日本が連携して検討を開始している。なお、2年目のプログラムでは、新たに参画する大企業・スタートアップも募集しながら、新規の事業開発に取り組む予定だという。
(出典:スクラムベンチャーズ株式会社 Webサイトより)