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Googleのサイドウォーク・ラボ:都市の生活を豊かにするモビリティのありかたとは?

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2019/8/9(金)

人間中心の道路のイメージ

Googleの兄弟会社「サイドウォークラボ」が、2019年6月24日にカナダのトロント市で手がけるウォーターフロント再開発の基本計画を公開した。基本計画の名前は「MIDP=Master Innovation and Development Plan」。通常は基本計画を「Master Plan」と呼ぶが、あえて「Innovation and Development」を含めるところに、イノベーション技術によって都市を発展させるという意気込みが感じられる。MIDPは約1500ページに及び、物量だけでも圧倒されるが、交通、住居と建物、公共空間、持続可能性、デジタルインフラなどの項目を包括的に盛り込み、まるでSDGs時代の都市計画の教科書のような内容となっている。中でもモビリティに関する提案は、計画の骨子のひとつだ。ここではモビリティの項目に絞り、サイドウォークラボの提案を読み解く。(文:齊藤 せつな)

自家用車に頼らず、快適に移動ができる都市へ

サイドウォークラボが提案するモビリティの基本的な考え方はMaaSの概念そのものだ。公共交通、自転車、歩行を基本として、シェアリングサービス、デマンド交通、ライドシェア、将来的には自動運転車も加えることで多様な移動の選択肢を作り、自家用車を保有する必要なく、快適な移動を目指すというもの。もちろん、これらは統合されて、住民は定額制で利用できるようにする。なお、MIDP本文中ではMaaSという言葉は用いられていない。「自家用車を保有する必要を減らす、安全で、便利で、つながる、手頃な交通システム」と説明されている。交通システムの根底には、「移動権」を保証すること、つまり「だれもが自由に移動できること」が重視されていると考えられる。

ではなぜMaaSの概念を基本とするのか。MIDPでは自家用車を手放すことは、住民の生活を豊かにするものだと強調している。豊かな暮らしを実現する上で、統計的な数値以上の意義があるという。例えば、長時間の自動車通勤による無駄な時間を、家族と過ごす時間や、ビジネスの機会に変える。自動車に関連する無駄な出費は、節約できるし、バケーションに変えることもできる。自動車通勤は疲弊するが、快適に移動ができれば落ち着いて、心構えができた状態で仕事を始められるなどと説明している。

そしてMaaSの概念を基本としながら、サイドウォークラボの提案は、革新的な点がいくつもある。
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