ソフトバンク、次世代デジタルインフラに関する研究開発開始
2023/3/27(月)
ソフトバンク株式会社(以下、ソフトバンク)は、超デジタル社会の実現に向けて、次世代デジタルインフラに関する研究開発を開始した。3月23日付のプレスリリースで明かしている。国立研究開発法人産業技術総合研究所(以下、産総研)と共同で、次世代デジタルインフラの基になる超分散コンピューティング基盤に関する研究を推進していくという。
ソフトバンクは、超デジタル社会を支える次世代デジタルインフラの担い手へと変革することを目指している。そして、これまでの通信事業の枠組みを超えて、社会や産業のDXを促進するとともに、デジタル産業の創出やデジタル人材の輩出に貢献することを進めている。今後、5GやMEC※ などの技術が進化して、スマートシティやドローンによる配送、物流の自動化など産業のデジタル化がますます加速することで、超デジタル社会が到来することが期待されている。社会全体がデジタルでつながる超デジタル社会の実現には、多種多様なデータを柔軟かつ適切に利活用できることが必要だ。しかし、現在は企業ごとや組織ごとのデータ利活用によるデジタル化のみが進んでいて、社会全体の最適化に至っていない。
※ マルチアクセスエッジコンピューティング
一方で、スマートモビリティやスマートシティなどの実現には、大量のセンサーやIoTデバイスなどから得られる現実空間のデータを仮想空間に取り込んで処理を行い、現実空間に反映することが必須だ。くわえて、現実空間の機器や事象は仮想空間と時間的・空間的な同期が求められる。そのため、離れた場所に存在する多数のセンサーなどから取得したデータを正確に取り込み、サービスの要求レベルに応じた処理能力と処理速度を可能にするコンピューティング基盤が必要になりる。他方、現在のクラウドなどのコンピューティング基盤では、5Gやポスト5Gの特性である超低遅延や多数同時接続など現実空間のデータ処理に必要な機能や性能を提供できていない。同社は、これらの課題の解決や超デジタル社会の実現に向けた取り組みの一環として、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が実施する「ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業/ポスト5G情報通信システムの開発(委託)/(f1)超分散コンピューティング技術の開発」の公募に、産総研と共同で取り組む「超分散コンピューティング基盤の研究開発」を提案し、研究課題として採択された。
同研究では、「データが広域に分散している環境で、一定の時間内に処理を完了する確度を高める技術」、「現実世界から多種多様かつ大量のデータを取り込み、処理する技術」、「複数の場所から生み出されるデータを一定時間内に安全に連携する技術」を推進する。さらに、「ポスト5Gを生かす上記3技術を適切に組み合わせて、提供するモデルの構築と実装」、「研究開発の成果を広く普及させるための戦略の立案と推進」にも取り組んでいく予定だ。
また、同研究では、超分散コンピューティング基盤が実用化することで、企業や組織ごとに分散しているデータを共通の基盤で連携させて、さまざまな分野のデジタル化を実現することが可能になる。ほかにも、分散した計算資源やネットワーク資源を一体で扱うことで、データを利用したいユーザーの近くで処理するなど、最適な場所で最適なデータ処理を行うことが可能になる。また、爆発的に増加するデータトラフィックを分散して処理することで、消費電力を抑えることが可能になり、カーボンニュートラルの達成に貢献することも期待できる。これにより、例えば、自動運転の車両データや交通データ、信号データなどの連携によって、AIを活用した未来予測で交通事故がない社会を実現する世界が期待される。ほかにも、人流データや気象データからの需要予測によって、効率的な生産や配送を可能にし、無駄がないサプライチェーン実現なども見込まれている。
なお、同社は、最先端技術を社会実装することで、日本のデジタル化をリードし、社会のDXの実現に向けた取り組みを推進していくと述べている。
(出典:ソフトバンク Webサイトより)