【業界初】ソニー、車載LiDAR向けに新方式の高精度測距センサーを開発
2021/2/24(水)
ソニーは、SPAD(Single Photon Avalanche Diode)画素を用いた車載LiDAR向け積層型直接 Time of Flight(dToF)方式の測距センサーを開発し、18日に発表を行った。
SPADとは画素構造の1つで、弱い光でも検出できるという特徴がある。さらに対象物に反射した光をdToF方式の受光素子として用いることで、長距離かつ高精度な距離測定を可能とした。ソニーがCMOSイメージセンサー開発で培ってきた、裏面照射型、積層型、Cu-Cu(カッパー・カッパー)接続※1などの技術を活用し、高精度かつ高速に測定できるチップを実現した。また、さまざまな温度環境や天候など、車載用途で要求される厳しい条件下での検知・認識による信頼性の向上や、1チップ化することによるLiDARの低コスト化にも貢献する。※1 画素チップ(上部)とロジックチップ(下部)を積層する際に、Cu(銅)のパッド同士を接続することで電気的導通を図る技術。画素領域の外周の貫通電極により、上下のチップを接続するTSV(シリコン貫通電極)に比べて、設計自由度や生産性の向上、小型化、高性能化などが可能。(ソニー プレスリリースより)
ソニーは、同開発品を搭載したMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)※2方式のLiDARを評価用として開発し、顧客やパートナーに向けて提供を開始している。※2 さまざまな部品を一つの基板上に微細加工技術によって集積化したデバイス。このLiDARは光源から発した光をMEMSミラーで走査する方式を採用している。(ソニー プレスリリースより)
今回のチップの特徴は精度の高さと反応速度の速さだ。光を取り込む画素以外の回路部を下部に配置することで高い光子検出効率を実現し、最大300mの距離を15cm間隔で測距することが可能になった。さらに独自開発した回路により高速な測距処理、独自のSPAD画素構造により-40℃から125℃の環境でも安定した性能を実現した。(出典:ソニー Webサイトより)