【GI基金】ティアフォー、自動運転ソフトウエアの研究開発項目に採択
2022/7/21(木)
株式会社ティアフォー(以下、ティアフォー)は、「グリーンイノベーション基金事業」(以下、GI基金)の自動運転ソフトウエアに関する研究開発項目に採択された。7月19日付のプレスリリースで明かしている。
同プロジェクトは、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下、NEDO)から公募されたものだ。ティアフォーは、この公募に対し、「Microautonomy~集合的にスケーラブルな自動運転システムの創出」を課題提案した。そして、研究開発項目として設定されている「自動運転のオープン型基盤ソフトウエア」の実現に貢献する。「Microautonomy」とは、市場に流通するオープンな技術コンポーネントを組み合わせるという考え方だ。これにより、さまざまな環境に対してレベル4水準の自動運転機能を実現し、走れば走るほど賢くなることで運行設計領域(ODD)を安全にスケーリングできる。
経済産業省の調べによると、自動運転機能を有した電動車等の消費電力は、車載コンピュータで数千ワット、クラウド・ネットワーク通信まで含めると数千キロワットに及ぶ。同事業では、「Microautonomy」の構想に沿った基盤ソフトウエアの研究開発課題を設定する。具体的には、
「利用者の要求に合った技術コンポーネントの組み合わせ」「与えられた電力制約下で最大遅延を保証」などだ。さらに、「事業ステークホルダーに対して安全性を説明できる手段を提供」、「自動運転機能の検証、および妥当性確認にかかる時間とデータ量削減」も課題に掲げている。
最終的には、その基盤ソフトウエア上で構築されるレベル4水準の自動運転機能に対し、現行技術比で100倍以上の電力効率を達成することが目標だ。なお、GI基金の事業規模は、2022年度から2030年度までの9年間で254億円の予定だ。
また、同社は、第三者割当増資による121億円の資金調達を実施した。この資金調達では、既存株主であるSOMPOホールディングス株式会社・ヤマハ発動機株式会社に、今回新たに株式会社ブリヂストンを加えた3社を引受先としている。これにより、ティアフォー創業以来の累計資金調達額は296億円となった。
また、同社はこれまでも、主に施設内物流および限定地域交通分野の利用者(車両製造者および運行事業者)が参照できる自動運転システムの設計(リファレンスデザイン)を提供してきた。そして、共通プラットフォーム上で各リファレンスデザインを必要に応じて拡張することで、顧客の要求に合った自動運転システムを、顧客とともに共同開発してきた。
今回のシリーズBラウンドまでの資金調達により、事業加速に向けた自動運転機能のリファレンスデザイン提供を進める予定だ。その中核を担うソフトウエア技術の革新に向けて、GI基金も活用した総額400億円規模の開発プロジェクトを新たに立ち上げる。同社は、これにより、世界の主要な走行環境に対応したレベル4水準の自動運転機能の社会実装を目指すと述べている。