プロジェクトを行うビットブルグ市はドイツ西部、ルクセンブルクとの国境近くに位置し、日本で言う中山間地域に該当するエリアだ。TMFの発表によると、欧州の中山間地域は日本と同様に過疎化・高齢化等により公共交通が縮小しており、日々の生活に必要不可欠な移動や各種行政サービスの維持に支障が起きるケースが多く発生しており、その対策が大きな課題となっているという。

TMFは、こうした課題を抱えるビットブルグ市の市政府と連携してプロジェクトにあたる。デジタルプラットフォーム（都市OS）を構築し、行政サービスの維持向上や多様なモビリティサービスの提供を目指すとのことだ。

具体的なサービスとして、現在構築中のデジタルプラットフォームの機能を活用し、支援を必要とする高齢者と支援者をマッチングするサービスを6月2日より開始する。このサービスをモビリティ分野などに先駆けて開始したのは、地域の高齢者が新型コロナウイルスの感染を避けるために外出を控え、日常生活における困りごとが増しているという状況を踏まえてのことだ。

マッチングサービスは、支援を受けたい人が必要なサービスをスマートフォンから検索し、それを受けたマッチング機能が、近隣に住み対応できる状態のボランティアを、支援を受けたい人へと提案する。スマートフォンやインターネットに接続できない人向けに、コールセンターも開設し、電話による受付にも対応するという。

このプラットフォームは、最終的に行政・医療・地域産業支援・モビリティなど、地域で必要とされるさまざまな分野でのサービス提供を目指すとしている。TMFは今回の支援者マッチングサービスを、中山間地域の生活を支えるためのデジタル化戦略の第一歩と位置付けており、今後は近隣の地域にも展開していきたい考え。