凸版印刷、東京駅の案内業務にAI を活用 モビリティ変革コンソーシアムの実証実験で
2018/11/28(水)
凸版印刷株式会社(以下 凸版印刷)は、東京駅と構内商業施設を案内するコミュニケーションAI の実証実験として、チャットボット搭載のスマートスピーカーと多言語AI サイネージ「BotFriends Vision(ぼっとふれんず ビジョン)」を、2018年12月7日から設置すると発表した。同実験は凸版印刷の参画する東日本旅客鉄道株式会社(以下:JR 東日本)が設立した「モビリティ変革コンソーシアム」の一環として実施される。
「モビリティ変革コンソーシアム」は、交通事業者や国内外のメーカー、大学・研究機関、行政機関など、多くの関係者が参画し、様々な社会課題の解決や次代の公共交通についてオープンイノベーションでモビリティ変革を実現する場としてJR 東日本が設立した(関連記事)。凸版印刷は2017 年11 月より本コンソーシアムに参画しており、今回はその一環でAI 活用による駅および商業施設における案内業務の実用性の検証として、多言語AI サイネージ「BotFriends Vision」とチャットボット搭載のスマートスピーカーを、東京駅エリアに設置する。凸版印刷は実証実験を通し、案内コミュニケーションAI の実用性および、AI コミュニケーションツールの優位性を検証する方針。■ 実証実験における凸版印刷の施策
(1)ユーザとおもてなし対話が可能な多言語AI サイネージ「BotFriends Vision」
東京駅のコンコース内に多言語AI サイネージ「BotFriends Vision」を設置し、来場者へ案内、問い合わせの多言語対応を行う。実証実験では、騒音環境下でのスピーカー実地検証と地図や画像を用いた情報提供の精度を向上させるための調査を目的としている。多言語AI サイネージ「BotFriends Vision」は、凸版印刷のチャットボットプラットフォーム「BotFriends®」と多言語音声翻訳サービス「VoiceBiz(※1)」、音のバリアフリースピーカー「ミライスピーカー®(※2)」を組み合わせたもので、「AI コミュニケータ」シリーズの第3 弾として開発された。
※1 VoiceBiz(ボイスビズ) 翻訳可能な言語が30 言語から選択でき、固有名詞や定型文の登録に対応した業務用音声翻訳サービス。日英間翻訳のエンジンには、国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)が開発を進める深層学習を用いたニューラル翻訳技術を採用。従来技術に比べ、翻訳精度が大幅に向上している。 ※2 ミライスピーカー® 2013 年創立の日本発社会貢献ベンチャー、株式会社サウンドファン開発の広く遠くまでクリアに言葉を届け、高齢者を含む多くの人に聴き取りやすい音のバリアフリースピーカー。凸版印刷は株式会社サウンドファンと資本業務提携を交わしている。
・円滑なコミュニケーションを実現
実証実験では、凸版印刷が提供する最新の多言語音声翻訳サービス「VoiceBiz」を活用。30 言語の中から選択した言語に自動で翻訳し、瞬時に音声やテキストで出力する。駅コンコース内における専門用語や固有名詞をサーバに登録することで翻訳精度を高め、円滑なコミュニケーションの実現を目指す(実証実験中は日、英のみに対応)。
・おもてなし対話を実現
チャットボットプラットフォームは凸版印刷の「BotFriends」を活用。用意された質疑応答集の通りに回答するのではなく、行動経済学と凸版印刷がコールセンター対応で培ってきた顧客対応ノウハウに基づき、利用者の気持ちに寄り添った「おもてなし」対応を行う。システム・DB・印刷物制作等の様々な既存サービスと連動することでプラスアルファのソリューションを提供する狙いだ。
・外部システムとの連携
本実証実験中はヴァル研究所の「駅すぱあと」と連携し乗換案内や時刻表情報を表示する。また、QR コードで画面上の情報を取得し、スマートフォンとの連携も可能になる。
(2)スマートスピーカーおよびチャットボットプラットフォーム「DialogPlay」
東京駅のインフォメーション窓口にTIS 株式会社が提供するチャットボットプラットフォーム「DialogPlay(※3)」搭載のスマートスピーカーを設置し、駅員の訪日外国人観光客対応を支援する。実証実験では、多言語音声入出力の実地検証とチャットボットによるコミュニケーションの技術的課題の抽出を目的としている。※3 チャットボットプラットフォーム「DialogPlay」 TISインテックグループのTIS 株式会社が提供する業務チャットボットが作成できるSaaS 型のクラウドサービス。TIS 株式会社との協業し本実証実験で提供する。
・AI を活用したFAQ 対応
あらかじめ想定できる道案内や乗換案内等の問い合わせにはチャットボットが自動で応答する。FAQへの対応や状況のヒアリングにより適切な対応を伝えることが可能になる。
・日⇔中・英の翻訳対応
訪日外国人観光客対応のためにリアルタイムで会話を翻訳する。これにより、駅員の訪日外国人観光客対応の補助が可能になる。