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DLを超えるソリューションの開発に成功したQuantumCore社が4,000万円の資金調達を実施

2018/11/27(火)

量子コンピューティング分野の技術転用により、ディープラーニングの性能を超える多変量時系列処理ソリューションの開発に成功した株式会社QuantumCore(以下、クアンタムコア)は、IDATEN Ventures及び個人投資家を引受先とする第三者割当増資を実施した。調達した資金額は4,000万円に及ぶ。
クアンタムコアは、量子コンピューティング分野の技術転用によって、ディープラーニング(Long short-term memory:LSTM)の性能を超える精度、コスト、スピードを実現する多変量時系列処理(Recurrent Neural Network:RNN)ソリューションQore(コア)シリーズの開発に成功している。同社のソリューションの社会実装へ向けた事業開発、ならびにさらなる研究開発のために、今回調達した資金を活用していく方針だ。

Qoreの特長は「データ波形を効率的に捉えることで、少ないデータ量でLSTMを超える分類ができる」ことにあり、個体差、環境差、時間差等の影響が大きい領域(=ルールベースの推論モデルが通用しにくい領域)において、特に力を発揮できるとしている。

例えば異常検知等においては、推論モデルを構築するためにデータを採取してみたものの、正常データこそ大量に得られるが異常データをほとんど得ることができず、LSTMではそこから有効な異常検知の推論モデルを確立することが難しいといった問題が考えられる。そのようなケースにおいてもQoreを活用することで少ない異常データから有効な推論モデルをリアルタイムに導くことが可能。加えて、従来ディープラーニングで問題であった複雑なパラメータチューニングもQoreでは不要となるという。

今回の資金調達とあわせ、IDATEN Ventures代表パートナーの足立健太氏を社外取締役として迎え、ガバナンス面および戦略面も強化する姿勢。

■ Qoreを搭載したWebAPI「Web Qore」について

クアンタムコア社は、Qoreを活用しLSTMに比べて高い精度と速さを実現するWebAPIを開発している。Web Qoreを使えば、学習用データをCSVファイル形式にしてアップロードするだけで、高精度な時系列処理APIを瞬時に生成できる。高価なGPUは不要なため、安価に構築可能というメリットがある。

従来型LSTMとWeb Coreの比較

従来型LSTMとWeb Coreの比較



上記は、9人の音声ファイルから正しく話者分類するタスクを従来型のLSTMとWeb Qoreで行ってみた結果。Web Qoreは98.4%の精度(LSTMは92.4%)を、わずか1.8秒の学習(LSTMは120.5秒)で実現。従来型LSTMより高い精度を1/100オーダーの処理時間で実現したことになる(クアンタムコア社の実験による)。
将来的には、マイコンなどに組み込んだ状態で提供することにより、エッジコンピューティングまでカバーすることを目指している。

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