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自動運転に必要なHMIとは ートヨタ自動車

2017/11/3(金)

トヨタ自動車 森 大樹 氏

クルマが人に対して運転主体の意向を伝えることは自動運転の安全性において非常に重要とされている。クルマと人との協調に欠かせないHMI(Human Machine Interface)について、トヨタ自動車の森大樹氏が「自動運転に必要なHMI」の講演を行った。

[LIGARE vol.34 (2017.7.31発行) より記事を再構成]


人とクルマが助け合う関係

日本では年間4000人近くの人が、世界では120万人以上の方が交通事故で亡くなっている。交通事故ゼロを目指すのが自動車会社の使命で、その実現のためには自動運転の高度な技術が必要となる。

MOBIRITY TEAMMATE CONCEPT(モビリティチームメイトコンセプト)は人とクルマが同じ目的を持ち、ある時は見守り、ある時は助け合い、気持ちが通った仲間の関係を築くという考え方だ。人が運転したいときには人が運転し、運転したくない時や運転ができない時にはクルマに安心して任せるという、心の通った関係を築ける自動運転を目指している。人とクルマがお互い理解し合って場合によっては運転を交代する関係を実現させるためにはHMIが必要不可欠となる。

森氏は、内閣府が行っているSIP(戦略的イノベーション創造プログラム)で自動走行システムにおけるタスクの洗い出しに携わってきた。課題は大きく3つに分けることができる。一つ目は、人とクルマに関する課題だ。自動運転はレベルによって機能が違うため、ドライバーがレベル別の機能をしっかりと理解する必要がある。システムの状態を理解しておかないと、クルマの能力を過信してしまい、事故を招いてしまう。二つ目は、自動運転車両走行中のドライバーの状態と状態の維持方法、ハンドオーバーについての課題である。三つ目は、クルマと他の交通参加者の関係に関する問題である。手動運転の際、渋滞中のクルマの間に入ったり、横断歩道で横断する人へアイコンタクトをしたりと、ドライバーは他者とコミュニケーションをする。自動運転でドライバーが不在の場合、交通事故に対しての責任問題などについて解決する必要がある。

 

求められるスムーズな運転交代

一般財団法人日本自動車研究所(JARI)が行った運転交代に要する時間についての実験がある。レベル3の自動運転走行中、携帯電話の操作や本を読むなどのセカンダリタスクを行っている状態で、車線規制により機能限界を迎え、運転交代の要求が出る。2秒前の警告の場合、解除予告にさえ気付かず、運転交代ができなかった。平均3秒でステアを握ることができたが、解除予告に気付かない、セカンダリタスクによって交代できない、交代時に操作方法がわからない、といったケースがあった。

 


 

同じような実験をトヨタでもドライビングシュミレーターで簡易に行っている。あるカーブに来ると機能疾患を起こし、危険回避せずに突き進んでしまうという状況下で、受け渡しの通知ありとなしの場合の実験を行った。通知がある場合、機能疾患があることを正しく理解しているドライバーはハンドルの交代にあまり時間がかからなかった。平均2秒と反応も早く、最大でも3.6秒であった。通知がなかった場合、前方を見ていたドライバーは平均3秒で気付いて反応するが、前方を見ていないと大幅に反応が遅れることがわかった。セカンダリタスクをしている場合は10秒以上かかるケースも多く見受けられた。適切に情報を与え、機能を伝えることの重要性が見えてくる。

 


 

長時間で覚醒度が低下してくると条件が変わることもあるし、疾患して逸脱するなど複雑な環境下では状況認知に時間がかかる。重要なのは実証的なデータを集めていくことだ。ドライビングシュミレーターではない、実際の状況下での反応、長期間使った場合や慣れてきた場合についての課題もある。協調領域として取り組んでいく必要がある。

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