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来るべき電動化社会をリードする次世代電池を目指して トヨタ・パナソニック共同記者会見

2017/12/13(水)

トヨタ自動車株式会社(以下、トヨタ)とパナソニック株式会社(以下、パナソニック)は、2017年12月13日に東京都内で共同記者会見を開き、車載用角形電池事業について協業の検討を行うことに合意したと発表した。自動車業界が直面する電動化への急激なシフトという課題に対し、トヨタとパナソニック両社がこれまでに培ってきたノウハウを生かしながら、次世代電池の開発でリードしていきたいと決意を述べた。協業に至る背景や狙いなどについて語った会見の模様を紹介する。

[LIGARE vol.37 (2018.1.31発行) より記事を再構成]

豊田章男・トヨタ自動車代表取締役社長


津賀一宏・パナソニック代表取締役社長


経緯・背景

トヨタの豊田章男・代表取締役社長(以下、豊田章男氏)は、現在直面している地球規模の環境問題として、地球温暖化、大気汚染や資源・エネルギー問題などを挙げ、これらの解決に貢献するには電動車の普及が不可欠であるとし、電動車両の中核である車載用電池については更なる進化と安定供給能力の確保が喫緊の課題であると述べた。
一方でパナソニックの津賀一宏・代表取締役社長(以下、津賀一宏氏)は、「電池は電動車両が普及するために鍵を握るデバイスである」と述べ、両社が共通した認識を持っていることが伺えた。
トヨタは2020年代前半の実用化を目指した全固体電池の開発に注力しており、パナソニックも独自で研究を行ってきた。しかし、「自動車業界が直面している電動化という課題に対して、競争力の高い電池を日本国内で製造し、安定供給ができる体制を確立することが必要(豊田章男氏)」だと述べる一方で、実際には数多くの課題があり、既存の自動車メーカー、電池メーカー単独では解決できない状況であることも指摘された。
こうした両社の課題意識を背景として、高容量の車載用角形電池および全固体電池などの次世代電池を主な対象とした今回の協業検討に至った。トヨタがこれまで培ってきた電動化技術と、パナソニックの業界ナンバーワンの車載用電池の開発力を生かして、より高性能な電池開発へチャレンジしていく構えだ。また、安定供給の観点から、資源調達、リユース、リサイクルなどの項目も協業対象に含まれており、幅広い検討を行っていく方針である。

ビジョン、具体的な目標

さらに、豊田章男氏は「2030年ごろに全販売台数の50%を電動車両としたい」と具体的な数値目標を掲げた。その内訳は、EVとFCVで100万台、HVとPHVで450万台である。この数値目標は直近の販売台数の約3倍にあたり、これまでより一層電動車両の普及へと注力していく方針であることがわかる。これだけの目標を達成するためには、先に挙げた車載用電池の性能向上と安定供給、さらにリユース・リサイクルの仕組みの構築が必要不可欠となってくる。
他方、津賀一宏氏は「日本の自動車メーカーが電動化を進める上で、今求められているのは角形電池である」と捉えており、高容量で安全、かつクルマの設計がしやすい形状にしていくチャレンジをしていきたいと語っている。さらに、「近い将来リチウムイオン電池に性能的な限界が来ると考えており、その限界が来る時期までには全固体電池のシフトが出来るように準備しておきたい」との方針を明らかにした。
こうした高い次元の目標を実現するためには、前述したように単独のメーカーでは解決が出来ない問題が数多くあることが会見の随所で繰り返し述べられ、両社ともに協業による可能性の広がりを期待しているが感じられた。60年以上にわたる取引を続けてきたトヨタとパナソニックの関係が、急速に進展する電動化をきっかけとし、今後さらに深まっていくことが予想される。

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