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旧車で楽しむ移動 旧車キャラバンを神戸で開催

2023/10/30(月)

旧車コミュニティ「Vintage Club by KINTO」を運営する株式会社KINTO(以下、KINTO)は、10月1日から12月26日まで旧車キャラバンを神戸にて開催している。また、KINTOはネッツトヨタ神戸株式会社(以下、ネッツトヨタ神戸)と9月30日、神戸市にある芦有ドライブウェイ 東六甲展望台にて、新旧スープラ4世代を乗り比べできる「秋のスープラ祭りin芦有ドライブウェイ」を開催した。

今回、旧車レンタルを行うKINTOの総合企画部で部長を務める布川康之氏、KINTOとイベントを開催したネッツトヨタ神戸の高瀬明莉氏、旧車のレストアを行うトヨタ自動車株式会社(以下、トヨタ)のパワートレーンカンパニー 電動パワトレ開発統括部で主査を務める土屋和也氏に、旧車キャラバンで目指す姿や思いについて伺いました。

■地域を盛り上げる手段として

<取材にご協力いただいたネッツトヨタ神戸の皆様></br>中央:高瀬明莉氏

<取材にご協力いただいたネッツトヨタ神戸の皆様>
中央:高瀬明莉氏


――まず、なぜ今回神戸で開催することになったのでしょうか?

高瀬氏:今までは、クルマファンを増やすために新型車やハイブリッド車、また電気自動車などをメインにイベントを企画してきました。今回は、あえて旧車のほうに焦点を当てることで、これまでと違ったお客様から支持をいただけると考え、このイベントを開催いたしました。また、西宮に新店を建てるということも理由の一つですが、会社の方針として地域を盛り上げたい思いがあります。このイベントでは、旧車をきっかけにクルマのファンを増やし、地域貢献につなげたいと考え、KINTOの企画に賛同いたしました。

――地域貢献の手段として、旧車を選定された理由はなんでしょうか?

高瀬氏:旧車というと、年代が上のイメージがございますよね。もちろん、メインターゲットとしては、昔乗っていた方々にもう一度楽しさを見出してもらいたいと考えています。ただ、私たちとしては、20代や30代の人たちにも、旧車を触れる機会をつくり、クルマのおもしろさ、操作するおもしろさを体感してもらい、移動するきっかけをつくりたいと思っています。

■乗るだけじゃない 旧車はプレゼントにも

KINTO 布川康之氏</br>(前列 右から7人目)

KINTO 布川康之氏
(前列 左から5人目)


――クルマのサブスクを手掛けるKINTOが、旧車のレンタルをはじめた理由を教えてください。

布川氏:私たちは移動を楽しんでもらいたいのが会社の方針です。その中のメインビジネスとして、新車のサブスクをやっています。ただ、古いクルマも気軽に楽しんでもらいたいという思いから、この企画をはじめました。

古いものに手を入れ長く乗れるようにすることはSDGsの精神にもつながると思うんですよ。これは新車寄りの話ですが、既にお客様が乗っているクルマを最新の安全装備にアップデートしたり、今乗っているクルマをリフレッシュすることは、KINTO FACTORYの取り組みなので、上手くそことつなげて、移動をより楽しんでいただけるようなサービスになればと考えています。
※出典:KINTO「KINTO FACTORY」
――今回で5回目の旧車キャラバンとなりましたが、レンタルをする人はどのような方が多いのでしょうか?

布川氏:そうですね。旧車ですので50代、60代の方が多いんですが、3分の1は20代や30代なんです。若者のクルマ離れとよく言われますが、必ずしもそうじゃない。やっぱり乗り物に対するあこがれとか、興味関心はあるんだなと感じました。

また、本人が乗る以外の理由ですと、親御さんにプレゼントとして利用する方もいますね。クルマはそのときの家族の一員みたいな存在ですので、思い出として語られることが多いんです。以前、富士スピードウェイに展示し試乗もしていただきましたが、わざわざ古いアルバムを持ってきて、一緒に来場されたお子さんに「お前を出産しにいったのはこのクルマだ」とか言っている方もおられたのが印象的でした。

■味は残す 安全も担保

トヨタ自動車パワートレーンカンパニー 電動パワトレ開発統括部 主査土屋和也氏

トヨタ自動車 土屋和也氏


――トヨタでは、なぜ旧車をレストアしているのでしょうか?

土屋氏:まず、我々がクルマ好きであり、日本の中古車がたくさん海外に輸出されていることが寂しいなと、日本で長く乗ってほしい、古いクルマの価値を知ってほしいという思いがあります。そこで、何ができるのかと考えたときに、エンジンやトランスミッションなどパワートレーンが故障したクルマを直したり、レストアなどをしていくことでお客様に1台でも多く中古車を提供していく。これが我々のやれることではないかと考えたからです。

また、トヨタとしてSDGsに向かいマルチパスウェイの取り組みもあり、ガソリン車や水素、電動車をお客様に届けながら、カーボンニュートラルにも貢献していきたい思いがあります。その中で、今のクルマをPDCAで回して捨てるだけでなく、長く乗ることもお客様のニーズと環境貢献についての一つの答えがあるのではないかと。

そこで、我々から発信できることを考えていたときに、KINTOが旧車で面白いことをしようとしていることを知りました。古いクルマは、新しいクルマよりもコミュニティが強く、愛車感があります。KINTOとしては、移動で幸せを与えたい会社であり、移動のコミュニティをつくるところで、トヨタが古いクルマをレストアし、世の中のお客様に少しでも長くお手頃に提供していきたい思いと合致し、この企画がスタートしました。
※出典:KINTO「Vintage Club by KINTO
――旧車をレンタルされる人は、安全性について気になるかと思います。安全性はどのような対処をされていますか?

土屋氏:80年代以降のクルマは、今の道路交通事情も含めて、走る、曲がる、止まるは、気を付けていただければ問題ないんです。それよりも古いクルマになると、今の道路交通事情とか含め厳しいときは、パワーステアリングを付けたり、少しブレーキを強化したりと、クルマの状態を我々が確認して手を加えていますね。我々も悩んでいるのですが、みなさん当時のクルマに乗りたいので、そこを触ると当時のクルマではなくなってしまうんです。なので、味は残しつつの安全性を担保することを考えています。

■不自由は魅力

GR Supra A91

GR Supra A91


――現代のクルマとは違う、旧車の魅力とは何でしょうか?

布川氏:現代のクルマは、とても快適でスタイリッシュですが、ちょっと昔のクルマは、いじる楽しみとダイレクトに機械に触れる感覚、エンジン音や伝わる振動、走行中に漂ってくるガソリンのにおいなど、旧車ならではのよさを五感で味わえるところが魅力ですね。

また、旧車について話をしていると、普段はしかめっ面をしているような人たちもみんな笑顔になるんです。そんな姿を見ていると、「移動」に「感動」を届けたい、KINTOとして旧車に向き合って、取り組む価値は間違いなくあるのかなと思っています。

高瀬氏:不自由さでしょうか。今にない操作性、泥臭さ、安全装置もないですし。他にはナビゲ-ションもないので、目的地までは自分で調べないといけない。運転の操作性プラスそこかなと。あと、今のクルマにない音。みなさん最初は音に敏感に反応されるんです。エンジンをかけた瞬間のガゾリン臭さもそうですし。それが魅力ですね。

土屋氏:時代の背景や好み、エンジンの音、外装などはその時代のトレンドですよね。それが感じられるのが大きなことです。もう一つは、我々技術部の目線ですが、当時の技術ですね。今なら古い技術ですけど、電子制御で対応することが、昔なら機械で対応していました。もちろん電子制御のほうがいいのかもしれませんが、そのぎこちなさ、不自由さに味があるんですよ。機械的に動かすことの喜びや楽しみとか、今できない昔の良さが魅力ですね。

また、当日旧車に試乗した関東在住の50代男性は「旧車の一番の魅力はデザイン性です。現代のクルマは空力を考えるとみんな同じデザインになりました。個性がない。でも、80年代90年代は尖っているんです。各社、個性があった。だから若い世代の子たちも興味があるんじゃないかな」と話した。技術の進歩でデザインが変わってきたという。


■旧車でつなぐ移動の楽しさ

――最後に、このイベントやサービスを通して、どのようなことを目指していくのか教えてください。

布川氏:クルマのラインナップですと、トヨタの旧車だけでなく、他社の旧車も提供できたらいいなと思います。また、試乗やレンタカー以外でも、お客様から旧車に関するご相談を受けて、クルマづくりはトヨタ自動車と新明工業と一緒にやっているので、修理はそこで受けられるようにしたいですね。あと、旧車に乗っている人の一番の悩みは部品なんですよね。新しい部品はあまりないので、そのような声がある程度集まったら、それ作りますよみたいな、そのような動きも検討し、旧車で移動を楽しんでもらえるようにしたいです。

高瀬氏:旧車のレンタルとイベントの掛け合わせができればいいなとます。もうすぐ秋のシーズンになり、食べ物がおいしくなりますので、秋のイベントも会社で考えています。旧車レンタカーの貸し出しで終わらず、地域貢献の側面という観点から、西宮で借りたお客様が北や西など、人を動かすきっかけになればなと。その手段として旧車レンタカーで、ヴィンテージを楽しんでもらい、地域貢献につなげていきたいですね。

土屋氏:我々としては、このような機会をお客様に与えることが、本当にお客様の幸せになるのかをKINTOと一緒に見ていきたいですね。このまま一緒にやっていくのがいいのか、違う出口がいいのか。KINTOや我々は、それぞれ色んな思いがあるので。KINTOの思い描くところに我々がどのようについていくのかは、今後考えていきたいです。

なお、特選旧車レンタカーは、2023年10月1日から12月26日まで、ネッツトヨタ神戸 GR Garage 西宮で貸し出しをしている。

【取材後記】
旧車で移動を楽しんでもらいたい。3者にインタビューをして感じたことは、旧車をきっかけに移動を楽しむ人が増えてほしいという思いだ。近年、若い世代のクルマ離れが言われているが、20代、30代のレンタルも多い。旧車をきっかけに、どのような移動が生まれるのか。今後の活動にも期待したい。
(取材・記事/井口昭彦)

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