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「やまなし観光MaaS」公募開始 観光産業を県の柱に

2020/11/6(金)

愛宕山から望む甲府盆地と富士山

愛宕山から望む甲府盆地と富士山
Adobe Stockより

山梨県は5日、「やまなし観光MaaS整備事業」の公募を開始した。来年1月に協議会を始動させ、さらに翌年の2022年4月にサービス開始をめざす。MaaSプラットフォームの構築や、二次交通の事業者に対してDX支援などを行いつつ、富士山周辺に集中する観光需要を甲府市でも高めたい考えだ。
山梨県が定めた「やまなし観光推進計画」では、平成30年の観光消費総額4,001億円を令和4年度までに4,500億円まで増加させることを掲げている。また、観光客一人あたりの平均観光消費額も、平成30年の10,616円から令和4年度までに12,000円と約13%の増加を目標としている。

委託業務内容は下記の6点。
(1) 「やまなし観光MaaS推進協議会」の設立・運営
(2) タクシー等二次交通事業者に対する予約・決済・位置情報等システム導入支援
(3) やまなし観光MaaSプラットフォームと二次交通事業者システムの連携
(4) 観光サービス事業者に対する予約・決済・位置情報等システム導入支援
(5) やまなし観光MaaSプラットフォームと観光サービス(体験等)連携支援
(6) モデル地域における実証事業(PR含む)

企画提案の参加申し込み期限は11月20日(金)まで。提案資料の提出期限は12月8日(火)までとしている。

▼公募の詳細(山梨県のホームページへリンクします)▼ https://www.pref.yamanashi.jp/kankou-sk/maas-puroposal.html

■MaaSを通じて、観光産業を山梨の柱に

来年1月には協議会を設立し、同年2月から9月の期間で「やまなし観光MaaSプラットフォーム」を構築するスケジュールとなっている。その後、10月には県内での実証事業を行い、実証後の検証作業などを経て、2022年4月から、「やまなし観光MaaS」の運用開始をめざす。

山梨県では、今年度9月の補正予算案で新たに「やまなし観光MaaS整備事業費」として約2億5千万円を計上しており、推進協議会の設置や予約決済システムの導入支援等の費用に充てることを見込んでいる。

今回のプロジェクトを通じて、県内周遊を促進するため二次交通の連携・強化を図る。また、地域経済への影響や制度面の課題を整理し、MaaSの整備・運用を行う。観光産業の収益力向上を図り、観光産業を山梨県の経済の第2の柱とすべく取り組む方針だ。

■要求仕様から見る「やまなし観光MaaS」

山梨県の公募資料によると、実施地域は「甲府・峡東エリアを中心とすること」との記載がある。山梨県を訪れる観光客の半数近くが富士山麓周辺に集中しており、偏在する観光需要を甲府市周辺でも高める狙いだ。

また、委託業務は「実証で終了するものではなく、5年間は少なくともサービス期間を継続」とあることから、長く定着するサービスを見据えている。そのほかにも、「多言語対応を目指す仕様とすること」としており、インバウンド需要の取り込みも想定していることがわかる。

MaaSを展開する上でポイントになる各機能の統合については、細かい指定がある。具体的には下記の内容が盛り込まれている。
・チケット販売商品登録・販売機能
・観光体験プログラム登録・販売機能
・企画旅行商品登録・販売機能
・企画乗車券登録・販売機能
・経路検索・時刻表表示機能
・経路検索と連動したタクシー配車・決済機能(目標整備台数500台)
・やまなしバスコンシェルジュシステムが提供する GTFSリアルタイムと連動させること
・観光スポット情報等のコンテンツ提供機能
・キャッシュレス決済機能
・インバウンド対応・感染症予防対策など、ウィズコロナ・ポストコロナ期を見据え、地域に広く観光需要を喚起する独自提案を行うこと


これらの項目を見る限り、各地で展開するさまざまな観光型MaaSと同様に、複合的な経路検索による移動の効率化と、各種デジタルチケットの販売、観光コンテンツの提案が主な機能になると予想できる。加えて「やまなし観光MaaS」ならではの要素はどのようなものになるのか、今後の動きに注目したい。

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