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企業が実践する交通事故防止とは?現場の対策例をまとめて紹介

2023/3/14(火)

自動車は私たちの生活を便利にしてくれるだけではなく、例えば企業の社用車として経済活動にも貢献しています。しかし、日常的に運転している交通環境は、常に事故が起こるリスクと隣り合わせの状況だといえます。便利な面だけに目を向けるのではなく、交通事故のリスクに備えることも大切です。

そこで、これまでインタビューした有識者の提言や導入企業の取り組みから、代表的な交通事故防止の対策例をピックアップしました。是非自社の取り組みに照らして、参考にしてみてください。

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交通事故防止につながる対策例

ひとたび社用車で重大事故を起こしてしまえば、従業員の身の安全が脅かされるだけでなく、企業が法的・社会的な責任を問われる可能性もあります。そうしたリスクを踏まえると、交通事故防止につながる取り組みは、社用車を持つ企業が取り組むべき重要な施策の一つといえます。

代表的な取り組みとして、事故が起こりやすい状況を知る「危険予知トレーニング」、実践を通じて学ぶ「実車指導」、事故から得た教訓を再発防止につなげる「事故・ヒヤリハット事例の共有」が挙げられます。

1. 危険予知トレーニング

自動車の運転における危険予知トレーニングとは、運転中に遭遇する事故やヒヤリハットが起こりやすい場面を抜き出し、その場面においてどんな危険要因が存在するのかシミュレーションを行う訓練です。「KYT」などの略称が用いられることもあります。

事故やヒヤリハットの発生リスクが高い状況での適切な対応方法をシミュレーションすることで、運転中の危険な要因を早期に発見して回避する方法を学ぶことができます。

e-Learningによる危険予知トレーニング(サンプル画面)

e-Learningによる危険予知トレーニング(サンプル画面)



危険予知トレーニングに用いる教材の一例として、日本自動車連盟(JAF)の「交通安全3分トレーニング」や、自動車事故対策機構(NASVA)の「危険予知トレーニングシート」などがあります。

2. 実車指導

実車指導には、社外で行うか社内で行うか、大きく分けて2つの形態があります。

社外で実車指導を行う場合は、自動車教習所などが行っている企業向け研修などを受講するのが一般的です。企業によっては、この研修プログラムに合格しないと社用車を運転できない、という制度を設けている例もあります。

社内で実車指導を行う場合は、部署内の上司や安全運転管理者が添乗指導を行うのが一般的です。その他に、外部講習を経て運転指導員に認定された従業員に指導を任せる例もあります。

例えば、追突事故につながりやすい「車間距離が狭い」といった運転傾向は、なかなか自分では気付けないものです。実践的な指導を受けて自分の運転の問題点を洗い出し、安全運転の徹底につなげるのが実車指導の目的です。



3. 事故・ヒヤリハット事例の共有

実際に起きた事故やヒヤリハットを当事者だけの問題として処理してしまうことは、社内全体の再発防止策として十分とはいえません。事故が起きた状況や原因を社内で共有することで、事故の教訓が生かされます。

一例として、ドライブレコーダーで撮影した事故やヒヤリハット映像を共有する方法があります。よりリアルな実際の映像かつ身近な同僚の事例を共有することで、より「自分事」化して注意を払うようになる点がメリットとして挙げられます。

詳細に事故状況や発生原因を分析したり、具体的な再発防止策を策定したりするために、社内の定例会議で事故・ヒヤリハット事例を共有する企業もあります。



その他に、毎日行う朝礼の場で情報共有を行う例もあります。直近で起こった事故やヒヤリハット事例を共有して注意喚起を行うのはもちろんですが、当日の天気や道路状況を伝えることも事故リスクの低減につながります。

上記の3つの取り組みの他にも、独自の「安全運転マニュアル」の策定警察や損保会社などが主催する講習会の受講など、それぞれの企業が社内の実情に応じた取り組みを実践しています。

交通事故が起こる主な原因

内閣府が発表した「令和4年版交通安全白書」によると、令和3年は30万5,196件の交通事故が発生しました。前年比で3,982件(1.3%)減少しているものの、いまだに多くの事故が発生しているのが現状です。

交通事故の防止を考えるにあたって、どういう状況が危険なのか理解することは重要です。そこで、ここからは交通事故が起こる原因や状況をさまざまな視点から整理します。

事故原因の多くは「ドライバーの不注意・油断」

交通安全白書によると、令和3年の交通死亡事故の原因で最も多いのが「安全運転義務違反」とあり、実に全体の約半分(53.6%)を占めます。
道路交通法第70条で「安全運転の義務」として「車両等の運転者は、当該車両等のハンドル、ブレーキその他の装置を確実に操作し、かつ、道路、交通及び当該車両等の状況に応じ、他人に危害を及ぼさないような速度と方法で運転しなければならない(※)」と定められており、これに違反した場合、安全運転義務違反となる。
※引用:e-Gov法令検索

安全運転義務違反に該当する具体的な運転行動として、漫然運転や脇見運転といった前方不注意、アクセル・ブレーキの踏み間違いやハンドルの操作ミスといった運転操作不適、前後左右の安全確認が不十分で、死角にいた歩行者や他車両の存在を見落としてしまう安全不確認などがあります。

安全運転義務違反の中から割合が多い順に挙げると、漫然運転(死亡事故全体の13.7%)、運転操作不適(同12.9%)、安全不確認(同11.5%)、脇見運転(同9.9%)となります。

漫然運転や脇見運転、安全不確認といった運転行動は、運転に慣れているからこそ起きてしまいがちな面があります。運転技能や経験値では問題がないベテランドライバーでも、自分の運転が交通ルールに即しているか、あるいは安全確認が十分にできているか、振り返ってみることが大切です。



運転技術・経験の不足

ソニー損保の「2023年 20歳のカーライフ意識調査」によると、運転免許の保有率は61.2%、加えて28.6%が将来取得する予定と回答しました。「若者のクルマ離れ」といわれる昨今においても多くの若者が運転免許を持っている(または持つ意志がある)ことがわかります。

他方、「車を購入するつもりはない」と答えた人は23.6%を占めており、この傾向を踏まえると、運転免許を保有していながら、実際の運転には不慣れな状態で入社するケースも想定できます。一部の交通事故やヒヤリハットが、こうした「経験不足」によって起こる可能性も考えられるでしょう。
※2022年11月17日〜11月19日の3日間、2002年4月2日〜2003年4月1日生まれの人を対象に実施したインターネットリサーチ。有効回答数は1000件。
https://from.sonysonpo.co.jp/topics/pr/2023/01/20230105_01.html

事故が発生しやすい場所

交通安全白書にまとめられた道路形状別の交通死亡事故発生件数を見ると、半分近くの死亡事故が交差点で発生しています(交差点内34.8%、交差点付近11.8%、計46.6%)。また、次いで多いのは、一般単路(交差点、カーブ、トンネル、踏切などを除いた道路)での死亡事故(31.7%)です。

交差点での右折・左折や、車線変更や合流などの状況に多くの事故リスクがひそんでいるのはもちろん、一般単路においても、見通しが悪く死角が多い、直線道路で速度を出しやすいといった条件が原因で事故につながるケースもあるので注意が必要です。

事故が発生しやすい時間帯

時間帯別に見ると、死亡事故は17時台~19時台の日没前後、いわゆる「薄暮」の時間帯で最も多く発生します。

日が沈むにしたがって周囲の視界が徐々に悪化することで、他車両や道路を横断する歩行者・自転車などの発見が遅れ、衝突事故などが発生するリスクが高まります。早めにライトを点灯して自車両の存在を周囲に知らせるように心がけましょう。
※参照:警察庁「薄暮時間帯における交通事故防止」
https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/anzen/hakubo.html



交通事故防止に役立つ通信型ドライブレコーダー

効率的に交通事故防止の取り組みを実施できる一つの方法として、「通信型ドライブレコーダー」の導入があります。

通信型ドライブレコーダーとは、車載カメラやセンサーを使用して、運転映像や走行データ、車両の位置情報などを記録するデバイスです。収集したデータはクラウドに保存され、事故防止や安全運転教育に活用することが可能です。

また、機種によっては取得した運転データを分析し、点数化する機能があります。「車間距離が狭い」や「急ブレーキを踏む回数が多い」といった運転行動がドライバーごとに割り出せるので、個別の傾向を踏まえた安全運転指導を行うことができます。

その他にも、社用車の現在位置や走行経路を記録したり、運転日報の作成を自動化したり、収集・解析したデータを業務効率化に活用することも可能です。

*通信型ドライブレコーダーの特徴

運転状況の見える化で事故の予防につなげる
車間距離や速度超過、一時不停止等、ドライバーのさまざまな運転行動を見える化できます。可視化したデータをドライバーごとの運転診断に活用するなど、日々の安全運転管理に役立つ機能が満載です。
AIが抽出したヒヤリハット映像を安全運転教育に
AIがヒヤリハットの可能性がある映像のみを自動で抽出します。ヒヤリハットの発生地点をマップ上に表示して危険なポイントを共有したり、ヒヤリハット映像を活用したe-Learning資料を作成したり、ドライブレコーダーが取得したデータを日々の安全運転教育に活用できます。
ヒヤリハットマップで危険な地点情報を共有できる
蓄積したデータを基にヒヤリハット地点をマップ上に表示することができるため、危険なポイントが一目瞭然です。時間帯や要因別でも把握できるので、各自の走行ルートと照合して管理者とドライバーで検証・対策に活用することが可能です。

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交通事故防止につながる事例や対策を導入する際の注意点

今回述べた交通事故防止の対策例を実践したとしても、すぐに劇的な効果が得られるとは限りません。これまで行ったインタビューでも「継続して取り組むことが重要」だとさまざまな有識者や企業が述べてきました。通信型ドライブレコーダーも事故防止や安全運転教育、業務効率化などに貢献する機能拡充が進んでいるとはいえ、決して「魔法の杖」ではありません。

重要なのは「社内の事故防止対策に落とし込むこと」、そして「構築した仕組みを継続して運用すること」です。今回紹介した交通事故の予防や削減につながる事例が、自社の取り組みを振り返り、改めて徹底するきっかけとなれば幸いです。

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