三菱重工、下野市で自動運転バスの「路車協調システム」実証に参画 単眼カメラとAIで死角を検知・支援
2025/12/22(月)
三菱重工業株式会社(以下、三菱重工)は2025年12月18日、栃木県下野市のバス路線「自治医大線」にて実施される自動運転バスの実証実験において、路車協調システムを提供・検証すると発表した。本実証は国土交通省関東地方整備局が主体となり、下野市や交通事業者と連携して行われるもので、三菱重工はシステムの設置およびデータ収集を担当する。期間は2025年12月15日から2026年2月末までの約2.5ヵ月間を予定している。
栃木県では無人自動運転移動サービスの普及に向けた取り組みが進められており、今年度、下野市では自動運転レベル4での実証運行を目指している。今回の実験は、この自動運転バスに対し、地上側のインフラから支援を行う「路車協調システム」の有効性を検証するものだ。
三菱重工が提供するシステムは、単眼の光学カメラとAI画像分析を組み合わせたものだ。道路上の車両や歩行者を検出し、位置や速度情報に変換して自動運転バスへリアルタイム送信する。AIにより、トラックや乗用車といった車両種別の判別も可能だ。
実験の舞台となるのはJR自治医大駅のロータリー。ここでは2つの機能検証を行う。
1つ目は「発車支援」だ。バス停から自動運転バスが発車する際、バス側のセンサーだけでは検知が難しい右斜め後方(待機エリア)から接近してくる車両を路車協調システムが検知し、バスへ情報を送信する。これにより、死角からの車両接近リスクを低減し、安全な発車をサポートする。
2つ目は「駐停車抑止」になる。バス停付近に一般車が駐停車した場合、システムがこれを検知し、表示や音声で移動を促す警告を行う。これにより、自動運転バスのスムーズな運行を妨げる要因を排除する狙い。
三菱重工はこれまでも交差点での死角検知などで実績を積んできた。今後も路車協調システムをはじめとするソリューション開発を進め、人手不足が課題となるバス路線の維持や、自動運転バスの安全な社会実装に貢献していくとしている。








