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【特集】自動運転の社会実装はどこへ向かうのか?国際モータージャーナリスト・清水和夫氏に聞く

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2026/1/19(月)

「2025年度までに50カ所、2027年度までに100カ所で、自動運転レベル4の移動サービスを社会実装する」という政府目標が示され、各地で実証実験などの取り組みが進んでいる。他方で自動車メーカーに注目すると、海外のAI企業と連携したソフトウエア開発などが徐々に具体化してきた。

しかしながら、社会実装に向けた道のりには、多くの課題がいまだ山積している。国際モータージャーナリストとして活躍し、国の委員としても自動運転プロジェクトに長年関わってきた清水和夫氏に、日本の自動運転の現状と課題、そして今後の展望について見解を伺った。

取材/モビリティジャーナリスト 楠田悦子
文/LIGARE編集部 和田翔

国際モータージャーナリスト・清水和夫氏プロフィール写真
国際モータージャーナリスト 清水和夫(しみず・かずお)
<略歴>1954年東京都生まれ。1972年のラリーデビュー以来、国内外の耐久レースなどで活躍。ジャーナリストとしても活動し、日本カー・オブ・ザ・イヤーの選考委員も務める。2010年代から現在に至るまで、SIP第1期・第2期、RoAD to the L4(自動運転レベル4等先進モビリティサービス研究開発・社会実装プロジェクト)の委員などを歴任し、国内の自動運転プロジェクトの推進・審査にも携わっている。

高コストのハードルを超えるには、AI活用のE2Eがカギに?

――国内での自動運転、特に最近の情勢についてどのように感じていますか?

清水氏:SIP(戦略的イノベーション創造プログラム)の第1期(2014~2018年度)と第2期(2018~2022年度)を含め、長らく自動運転に関わってきましたが、社会実装へと進むには依然として高いハードルがある、というのが率直な思いです。

国を挙げて取り組み始めた当初は、高精度地図や自己位置推定の技術が不可欠という考えのもと、SIPでも取り組んでいました。カメラやミリ波レーダー、LiDARなどを組み合わせ、“センサーリッチ”な開発思想だったと言えます。

ただその方針だと、1台の車両価格が数千万円にも及びます。現在も、自動運転車両に多種多様なセンサーを搭載して各地で実証実験をやっていますが、遠隔監視型にしろ、乗務員乗車型にしろ、非常に膨大な車両コストがかかるんです。社会実装を見据えたときに、バスやタクシーの事業者がそんな高価な車両を運用できるのか、ずっと疑問に感じています。

――車両コストを削減するために、どんなアプローチが考えられるでしょうか?

清水氏:交通状況の認知から判断・操作までを全てAIが担う「E2E(End-to-End)」という方式があるでしょう?この方式であれば、極端な話「センサーはカメラだけでいい」という発想に近づいていきます。つまり、多種多様なセンサー類や高精度地図は必要なくなり、ハードウエア価格の大幅な削減が期待できるわけです。

Waymoや中国勢もこのE2E方式を採用しています。国内ではスタートアップのTuringが有名ですね。中でも象徴的なのは、テスラでしょう。先日、同社のEV「モデルY」がテキサス州の工場から顧客のもとまでドライバーレスで納車される姿が公開されました。今や同州では「タクシーに運転手が乗っている方が珍しい」なんて言われているほどの発展を遂げています。

このE2E方式がさらに進化することで、自動運転のあり方が大きく変わるかもしれません。社会実装に向けて課題だらけだった状況に、AIの進化で一筋の光が見えた印象です。ですから今後の展望については「不安と期待の両方が交錯している状態」というのが本音です。

テスラは日本国内では、ドライバーによる監視が前提の運転支援システム「Full Self-Driving」のテスト走行を行っている。

日本国内でテスラは、ドライバー着座が前提の運転支援システム「Full Self-Driving」のテストを実施中。
(画像:PR TIMESより)


正解へのアプローチは、「人間の運転」を模すること?

――自動運転の理想は、どうあるべきだと考えていますか?

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