BOSCH 自動運転車のための自車位置測定サービスを提供
2018/12/17(月)
自動車部品メーカーのBOSCHは、自動運転車両の自車位置を測定するセンサー「Vehicle motion and position sensor」(以下、VMPS)を開発した。従来の演算処理能力では対応しきれない自動運転の安全性。衛生通信だけに頼らない独自のシステムで、あらゆる運転状況での安全性の確保を目指す。
VMPSには、衛星測位システム (GNSS)*1の信号を受け取る高性能な受信機が組み込まれている。測位衛星は地球から25,000km離れた距離にあり、毎秒4,000mの速度で動いている。衛星から送り出される信号は、地上に到達するまでにタイムラグがある。既存のナビゲーションシステムにとってはそれでも十分な精度だが、自動運転においてはそうではないとBOSCHは指摘する。※1:GPS、GLONASS、Galileo、準天頂衛星(QZSS)等の衛星測位システムの総称
BOSCHは、連携しているさまざまなプロバイダーから供給される補正データを活用するべく、2017年に合弁企業のSapcorda社を立ち上げた。これにより、正確な位置情報を持つ基地局のネットワークをもとに、GNSS測位情報を補正できるようになった。補正されたデータはクラウドや静止衛星を介して車両に送られる。また、GNSSからだけでなく、VMPSに搭載された車両の操舵角センサーと車輪速センサーからも、車両の進行方向や速度の情報を取得できる。さらにVMPSには、人間でいう内耳に相当する慣性センサーが組み込まれている。車両がトンネルに入って電波が途切れた時など、周囲の情報が不十分な状況においても、慣性センサーによって進行方向や位置が計算で導き出される。
もしGNSSの信号を長時間受信できない場合は、BOSCHのロードシグニチャーを通じて位置が推定される。ロードシグニチャーは、車載レーダー、車載カメラなどのサラウンドセンサーをベースに、マップを用いた相対的な自車位置推定サービスだ。暗い場所や視界が悪い場所でも、車線や道路標識やガードレールなど、道路上や道路脇にある物体を検知できる。検知された情報はクラウドに送信され、クラウドのマップ情報と比較することで、自車位置を相対的に把握することができる。BOSCHは自車位置特定技術においてハード面とソフト面両方を充実させることで、冗長性のあるサービスの提供を目指す。