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「チョイソコとよあけ」が示す、新しい地域交通の作り方 ― 住民と自治体と事業者の参加型プラットフォーム (前編)

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2020/2/18(火)

豊明市内を走るチョイソコバス車両

豊明市内を走るチョイソコバス車両

都市部と地方、観光地など、その地域事情ごとにMaaS化が進んでいる。特に地方では、運転能力の低下によって、自家用車の運転が困難になり移動手段をなくしてしまう高齢者が増加する反面、担い手となるべき既存公共交通は十分に発達できておらず、さらに財政難や運転手不足などによって衰退しつつあるなど、「交通難民」の増加が深刻化している。自治体が運営するコミュニティバスの維持が容易ではないと言われる中で、無償の実証実験から有償サービス化し、地域に根付きつつある乗合送迎サービスがある。アイシン精機株式会社(以下、アイシン精機)と株式会社スギ薬局(以下、スギ薬局)が愛知県豊明市で進めている「チョイソコとよあけ」の取り組みを取材した。

乗り合い送迎サービス「チョイソコ」とは

「チョイソコ」は、アイシン精機とスギ薬局が連携し、高齢者を中心とした地域住民の健康維持・増進を目指して実施している乗り合い送迎サービスだ。予約に応じて乗降場所や経路を変更できるデマンド型交通で、病院・クリニックなどの医療機関への通院や、スーパーマーケット等の商業施設への買い物、公共施設での文化活動の送迎を行い、地域の「交通難民」の“日常生活”を支援する。サービスの名称は、地域の利用者に親しみを持ってもらうなどの目的で「チョイソコ+〇〇(自治体名など)」という形式にしており、愛知県豊明市では「チョイソコとよあけ」としている。

「チョイソコとよあけ」のサービス対象は同市内在住の高齢者を中心に交通不便地域の人としており、利用には会員登録が必要だ。チョイソコのサービス開発にあたり、事業主体社であるアイシン精機株式会社イノベーションセンター部長の加藤博巳氏は「全国のコミュニティバスや豊明地域の現地調査を徹底的に行い、実態把握」を行った。その結果、当初構想したスマートフォンやWEB予約をやめ、高齢者の使いやすさを最重視して、「電話予約というあえてアナログな方法を選択した」(加藤氏)という。

利用方法はシンプルで、会員が電話で乗車希望日時を伝えると、オペレーターが乗降データを入力、複数の利用者の目的地・到着時刻を専用システムで計算して、予約を完了する。予約時間になったら最寄りの停留所からチョイソコ車両に乗車し、複数の人が乗り合わせた上で目的地まで送る仕組みだ。目的地までのルート計算には、アイシン精機がこれまで培ってきたカーナビゲーションの技術を応用している。

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