エッジAIをドラレコに組み込み 危険な運転シーンを即座に検出【デンソーテン】
2023/2/10(金)
株式会社デンソーテン(以下、デンソーテン)は2月9日、通信型ドライブレコーダーに関する新技術を発表した。エッジAIと画像認識技術を組み合わせ、交通事故につながる危険な運転シーンをリアルタイムで検出することが可能になったという。法人向けドライブレコーダーの新機能として、今夏の実用化を目指す。
■危険な運転シーンの検出を高精度・リアルタイムで
今回デンソーテンが発表したのは、同社が開発する通信型ドライブレコーダーへの実装を予定している新機能とその関連技術だ。車載器に組み込んだエッジAIと、独自開発の画像認識アルゴリズムを活用して、画像処理を高速化。その結果、信号無視や車線逸脱をはじめ、居眠り運転・脇見運転・運転中のスマートフォン操作といった交通事故につながる危険な運転行動を、リアルタイムで検出できるようになった。
デンソーテンが提供する法人向けドライブレコーダーでは、現行機種でも社用車の事故防止を目的としたテレマティクスサービスを提供している。従来は、車載器が衝撃を検知した際の映像をクラウドサーバーに自動送信する仕組みだったという。
新技術では衝撃をトリガーとしない危険シーンの検出が可能で、さらにドライバーにリアルタイムで通知することが可能になったため、ドライバーの安全意識向上や、交通事故の防止に活用する考えだ。
なお、今回発表した新技術は、法人向けサービスの新機能として、今年夏ごろの実用化に向けて準備を進めている。
■精度向上で信号や車線も細かく検知
今回発表した新技術の概要は以下の通り。(1)信号検知技術
エッジAIの搭載によって、運転中の自車両から遠くにある信号機でも検知することが可能になった。さらに、交差点などで複数の信号機を検出した際も、自車両から信号機までの距離と方向を算出して、自車両が従うべき信号機を判定することができる。(2)車線検知技術
画像の濃淡から車線を検知するヒストグラム解析を行い、車線とそれ以外(路面や歩道)を分離することで、かすれた車線でも高い精度で検知可能だ。さらに、破線や二重線なども検知でき、車線の種類に応じて「はみ出してはいけない線」を定めた上で自車両と車線間の距離を検知して、ふらつきや車線逸脱をより高い精度で判定できる。
(3)オートキャリブレーション
従来は、車内にカメラを取り付ける際に、車外に置いたマーカーを使用しながら手動で取り付け角度を設定する必要があったという。オートキャリブレーションとは、走行中にカメラの取り付け角度を自動で推定し補正する新機能で、カメラの角度が変わっても自動で再推定されるため、検知すべき対象物までの距離を正しく測ることができる。その結果、信号検知や車線検知など危険シーンの検出精度が飛躍的に向上したという。
なお、これらの3つの技術については、いずれもデンソーテンが特許出願済みとのことだ。
今回発表されたデンソーテンの事例も含め、エッジAIを活用したサービスが続々と市場に登場している。ビッグデータの活用やデバイス・アプリの高性能化が進み、サーバーやネットワークへの負荷も増大し続けている昨今の傾向を考えると、エッジAIを組み込んだ車載デバイスの需要も今後ますます高まることが予想される。