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ささいな危険も見逃さない! JAFの事例から見る、安全運転教育へのデータ活用

2021/7/9(金)

【特集:ドライブレコーダーの進化に迫る】


交通事故の発生件数は年々減少傾向にある。一方、1万台あたりの人身事故発生件数を見ると、業務用車両は自家用車の約3.7倍にも及ぶ。「会社の看板」を背負う社有車の事故防止と安全管理は、企業にとって大きな課題の一つと言える。現在、事故防止のソリューションとして、ドライブレコーダーの活用が注目されている。株式会社デンソーテン(以下、デンソーテン)は、運輸車両や営業車両などに向けて、通信型ドライブレコーダー「G500/ G500Lite」のサービス展開を行っている。クラウドサーバーと連携して、車載器で録画した映像をドライバー教育に活用できる点などが特徴だ。

今回は、ロードサービスの展開と安全運転への啓発活動で知られる、一般社団法人日本自動車連盟(JAF)の鶴間将大氏(埼玉支部坂戸基地主任)と飯田裕司氏(本部ロードサービス部技術課)に、JAFの事故防止の取り組みを伺った。現場でどのようにドライブレコーダーを活用しているのだろうか?

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※参考資料:公益財団法人 交通事故総合分析センター 『交通統計』平成30年版より
https://www.itarda.or.jp/materials/traffic/free

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■安全運転の実践にドライブレコーダーを活用

――まずは、JAFの安全運転に対するポリシーを聞かせてください。

鶴間氏:JAFの基本理念は「自動車ユーザーに対し、安全と安心の支えとなるサービスを提供するとともに、交通の安全と環境のための事業活動を積極的に推進し、健全なくるま社会の発展に貢献する」というものです。交通安全推進団体の一員であるJAFでは、常に一般ドライバーの模範となる運転を徹底しています。

鶴間氏(JAF埼玉支部坂戸基地主任)

――具体的に、どのような方法で安全運転を徹底しているのでしょうか?

鶴間氏:日課である朝礼での注意喚起から始まり、3カ月ごとに本部ロードサービス部が配信する「全国統一事故防止活動実践項目」をもとにした事故防止策の実践、KYT(危険予知トレーニング)、OJT(On the Job Training)、警察署が主催する交通事故防止コンクールへの参加など多岐にわたります。

埼玉支部では、WEB会議システムで各基地をつなぎ、合同朝礼を実施しています。当日の天候が悪い時などは「風が強いので扉やボンネットの開閉には注意するように」といった具体的な注意喚起を共有することで、隊員の乗務時の不安をなくし、気持ちよく現場へ送り出すようにしています。

――特に力を入れていることは何でしょうか?

鶴間氏:先ほどお話しした全国統一事故防止活動実践項目は、過去に発生した交通事故や作業事故、ドライブレコーダーの映像などから最近の事故傾向を分析したものです。本部ロードサービス部が策定し、各地方本部、支部、基地へ落とし込み事故撲滅を目指しています。

全国統一事故防止活動実践項目を徹底するために、ドライブレコーダーを活用した教育と管理に力を入れています。また、ドライブレコーダーを活用することでKYT素材を入手し、運転適性診断に対する自己目標への状況をモニタリングすることもできます。安全運転を定着させるために、ドライブレコーダーは欠かせない存在です。

JAF埼玉支部坂戸基地

JAF埼玉支部坂戸基地



――ロードサービス隊の一日の行動について教えて下さい。

鶴間氏:まずは出勤時、健康状態やアルコールチェック、免許証の確認などを行います。埼玉支部の取り組みでは、支部全体の朝礼後に基地の朝礼を実施し、ここでも事故防止に関する情報共有を行います。乗務開始時にはドライブレコーダーに安全宣言と当日の具体的な行動目標を発声して記録に残し、責任感を持ってハンドルを握るように取り組んでいます。また、乗務中は見たもの、確認したものを発声しながら運転操作を行う「コメンタリードライブ」を実施しています。

救援業務が終わり、基地に戻ってきたら、ドライブレコーダーの録画映像をもとに、事故につながる恐れのあるヒヤリハット情報を同僚と共有し、同様の事案に備えた対策について意見交換します。

――管理者として、安全運転の徹底のためにどのようなことを意識されていますか?

鶴間氏:安全管理に関するさまざまな方針・施策への認識と理解を深め、隊員たちにわかりやすく腹落ちさせることを重視しています。事故防止はJAFに限らず、どの企業にとっても大きなテーマです。事故によって生産性を落としたくありませんし、何より大切な部下やその家族をつらい目に遭わせたくありません。

しかし、運転者一人ひとりが自分を客観的に評価し、具体的な改善行動を継続しない限り、安全運転は達成できません。多くのデータや情報を活用し、隊員たちと密接にコミュニケーションをとること。そして危険運転のリスクをわかりやすく伝え、実践行動へと導くことが何より大切です。隊員たちが常に冷静かつ慎重に運転できるようコミュニケーションをとり、「事故を絶対に起こさない」という意識を強く持たせることを心がけています。

飯田氏:本部がどれだけいい施策を打ち出しても、それを実践するのは現場の隊員それぞれにほかなりません。地方本部、支部の管理者の皆さんには本当に感謝しています。

鶴間氏と松嵜氏

鶴間氏と松嵜氏


■安全運転の継続 ささいなことも見逃さず

――ここからは、JAFが導入している業務用ドライブレコーダー「G500」の活用事例について伺います。まず、どのような経緯で導入したのでしょうか。

飯田氏:ロードサービス隊の最優先事項である事故防止を達成するため、2012年から「G500」の旧タイプを導入しました。現在、JAFではレッカー車や乗用車タイプのサービスカーなど、合わせて1,208台(3月末時点)に導入しています。また、導入を通じて、鶴間主任のような教育担当者の育成を強化したいとの思いもあります。

G500商品構成

G500 商品構成
(資料提供:デンソーテン)



――先ほど、全国統一事故防止活動実践項目やKYTに「G500」を活用しているという話もありました。その他の活用事例についてもお聞かせください。

鶴間氏:普段の取り組みでよく活用するのが、リアルタイムで走行場所や映像を確認できる機能です。例えば、レッカー車の単独乗務を始めたばかりの若手隊員に、管理者がリモートでアドバイスを行う際などに利用できます。

ヒヤリハットなどの運転状況の抽出も頻繁に使う機能です。この機能を使って作成した危険運転指導書を対象者と共有し、効果的な教育に活用しています。

検知できる運転行動はニーズに応じて変更できます。埼玉支部では、歩道から店舗に入る際のわずかな段差を越えるときも、アラートを発生させない運転を心掛け、雑な運転にならないように管理を行っています。ささいなことにもしっかり注意しているかが、安全運転を浸透させる指針になるからです。


(資料提供:デンソーテン)
――「G500」は抽出した映像を学習資料としても活用できますよね。

鶴間氏:はい、「eラーニング」機能は、各車からアップロードされた映像をもとに、安全運転に関する学習資料を作成し、全隊員が受講できるようになっています。JAFの隊員が経験したヒヤリハットをもとにしている上、いつ誰が事故を起こしてもおかしくない身近なケースばかりなので、非常に効果が高いと感じています。

ヒヤリハットの抽出は、「ビッグデータ解析」という機能でも生かされます。先ほど申し上げた段差や、歩行者の多い場所など、危険度が高いポイントのデータを集め、ヒヤリハットマップの確認が行えるのです。担当エリア外に出動し、不慣れな場所を走行する際でも、このマップで危険情報が事前に把握できるため、事故防止と運転の効率化の双方を実現できます。


(資料提供:デンソーテン)

■クラウドで共有 現場のスピーディーな対応に生かす

――「G500」には各車の運転を点数化し、ランキングにする機能もあります。こちらは活用していますか?

鶴間氏:実は全員100点なので、ランキング機能で優劣を付けていません。記録映像を本人のために提供し、必要に応じて管理者が教育することに重きを置いています。

――さすが、安全意識の高いJAFですね。最後に、JAFの安全管理に「G500」がどのような役割を果たしているか教えてください。

飯田氏:事故が起こると、多くの人は「誰が事故を起こしたか」に注目し、「自分は起こさないだろう」ととらえてしまいがちです。「G500」を活用すれば隊員たちは事故を自分のことのように受け止め、なおかつ客観的に事故の本質をとらえることができます。

録画映像やヒヤリハットマップは、JAF全体のテレマティクスサービスにアップロードされ、全国52支部で共有することが可能です。管理者の指導や教育コンテンツなどを通じ、事故防止につなげられるのは、「G500」だからできることだと言えるでしょう。

鶴間氏:これまでは「自支部と同様の事故を発生させない」と身近なところに目が向きがちでしたが、「G500」で全国の知見が共有されるようになったことで、隊員の意識はより高くなっています。以前は、事故速報が周知されるまで数日間かかっていましたが、「G500」が導入されたことで事故当日に内容を確認し、本部の指示を待つ前に各支部で対策できるようになりました。現場に近い者たちがスピーディーかつ自律的に動けるのも大きなメリットだと感じています。

JAF埼玉支部坂戸基地2

JAF埼玉支部坂戸基地


【取材後記】
安全運転を徹底するには、管理者とドライバーが密に連携して意識の醸成を図ることが非常に重要だ。また、ドライバーが事故リスクを「自分ごと」として考えるには、身近な事例を客観的に提示することも必要になる。今回取材したJAFの事例は、ドライブレコーダーの取得データを効果的に利用しながら、ドライバーの事故防止へとつなげている。事故になりうる細かい気づきをスピーディーに現場へと落とし込む取り組みは、他の事業者にとっても大きなヒントとなるはずだ。

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