ホンダら、EVと建物間で電力を融通するエネルギーマネジメントの実証開始
2022/2/25(金)
株式会社鈴廣蒲鉾本店(以下、鈴廣)と株式会社本田技術研究所(以下、ホンダ)は、EVと建物間で効率的に電力を融通するエネルギーマネジメントの実証実験を2022年2月に共同で開始した。ホンダが2月24日付のプレスリリースで明かしている。
鈴廣は、店舗や工場への太陽光発電・太陽熱給湯システムなど再生可能エネルギー設備を導入した。さらに、ZEB(ゼロ・エネルギー・ビル)本社社屋を建設するなど、エネルギーの地産地消に積極的に取り組んでいる。ホンダは、2050年にホンダの関わる全ての製品と企業活動を通じたカーボンニュートラルの実現を目指している。そして、再生可能エネルギーの活用拡大に貢献するエネルギーマネジメント技術の研究・開発に取り組んでいる。建物・車両の包括的なエネルギーマネジメントを行う「Hondaスマートホームシステム」も研究中だ。
同実証実験は、2050年までのCO2排出量実質ゼロを目指す地元神奈川県小田原市の政策に呼応したものだ。鈴廣とホンダの方向性が一致したことから、共同で実施する。小田原市にある鈴廣本社を中心とし、主に小田原市内でEVを走行。ホンダはEVとエネルギーマネジメントシステムを用意し、鈴廣がそれらを日常業務で使用する。
具体的には、EVを取引先訪問などの移動時に使用するとともに、移動に使わない時には蓄電池としても活用し、必要に応じてEVから鈴廣本社社屋に電力供給を行う。業務用EVを社屋のエネルギーマネジメント用の蓄電池としても活用するため、社屋用蓄電池への新規投資を抑制する効果が期待できる。
これにより、鈴廣とホンダは、「社屋全体の効率的な電力利用」、「EVによる効率的な移動業務」の2つを最適なバランスで両立させる。そして、CO2の排出量削減とピークカットによる電気代の低減を目指す。
また、同実証実験には、ホンダが新たに開発した「エネルギーマネジメントシステム」、EV利用時の消費エネルギーを最適化する「運行管理システム」、「バッテリーシェアリングマネジメントシステム」の3つのシステムを使用する。「エネルギーマネジメントシステム」は、電気料金の安い時間帯にEVを充電し、電気料金の高い時間帯にはEVから社屋に電力を供給することでピークカットを行うというものだ。「Hondaスマートホームシステム」で培った技術を活用し、システムに搭載したAIが、社屋に設置された既存の太陽光発電などのデータも学習する。その上で、電力需給の予測を行う。
「運行管理システム」は、鈴廣従業員が外出にあたり入力したEV利用予定を基に、車両のデータを活用する。そして、最も消費電力が少なく、短時間で効率的に移動できるルートを計算し、提案する。
「バッテリーシェアリングマネジメントシステム」では、社屋の電力需給の予測と、EVの利用予約に基づき、EVのバッテリー活用に関する全体調整を行う。調整内容は、「いつEVを走行させるべきか」「いつ充電すべきか」「いつEVから社屋に電力供給すべきか」といったものだ。これにより、エネルギーマネジメントと運行管理を最適なバランスで両立させる。
実証実験の期間は、2022年2月~2023年2月の予定だ。さらに、ホンダは、同実証実験を通じて、ユーザーにとっての経済的メリットの検証と、将来に向けたエネルギーマネジメントシステムのビジネスモデルの検討も行う。
なお、鈴廣とホンダは、同実証実験を通じて、社屋全体の効率的な電力利用と、EVによる効率的な移動業務を最適なバランスで両立させる。そして、エネルギーの地産地消によるカーボンニュートラルの実現を目指すと述べている。